消えた時間

近所の病院でメタボ検診を受けてきた。ついでに胃カメラも飲んできた。胃カメラについては、麻酔で眠っている間に検査をします、とのことだった。麻酔注射のあと、すーっと意識が遠のき、気がついたら、窓のある部屋のリクライナーに寝かされていた。なんだかだまされたような気分だった。ほんとうに検査は行われたのだろうか。第一、口にカメラを入れられた覚えが、まるでない。ぼくには検査の記憶がまったくなかった。それで、奇妙なことが起こった。眠りから覚め、ややあって、ぼくは診察室に呼ばれた。先生が、胃の内部の写真を見せながら説明を始めたとき、すぐに違和感が立ち上がった。
「すみません、これ、だれの胃ですか?」
もちろん、口に出して言ったりしなかった。でも、ぼくには胃の中を見てもらった記憶がない。これはぼくの胃ではない。でも、信じるしかなかった。胃の入り口辺りが少しただれている、とのことで、それ用の薬をもらって帰った。狐につままれたような気分だった。
麻酔をした後なので、遠出のドライブは避けたほうがいいでしょう、といわれたので、家に帰ってじっとしていた。久しぶりに庭に出て、じっくり見てまわると、ソテツがずいぶん大きくなっていることに気づいた。おおむね、ほぼ確かに、時間は流れている。
090615_01

“消えた時間” への2件の返信

  1. 同じく最近、消えた時間の経験者です。
    目が覚めたら、えっ~とココドコ??という感じでした。
    自分でリクライナーの所まで歩いた覚えも???
    どうにかして記憶を呼び起こそうとしても無理だったので
    あきらめました。ほんと狐につままれたような気がしました[E:coldsweats02]

  2. あの、なんともいえない不安は、一度体験しないと分からないような気がします。そういう意味で貴重な体験だったと思います。
    ちょっとした、コールドスリープ体験ですね。

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