ここ数日、ぼくは庭に置いた小さな水鉢を熱心に覗き込んでいた。昨年暮れ、ぼくは珈琲を買いに来るお客さんからスーパーの袋に入った泥のかたまりをいただいた。それを教わったとおりに水鉢の底に沈め、毎日飽きることなくそれを眺めていた。やがて泥のかたまりは芽を吹き、丸いつやつやした葉を水面に広げていった。
一週間前、ぼくは水の底に小さな蕾らしきものを認めた。それはみるみる大きくなって、水面に頭をもたげ、そして今朝、まるで定時を知らせる精妙なからくり時計のように、おもむろに膨らみはじめたのだった。ぼくは急いで鞄からカメラを取り出し、その様子を記録した。しかし、すでに家を出る時刻をかなり過ぎている。ぼくは遅刻を恐れるサラリーマンよろしく、開きかけた花を後に家を出たのだった。
帰宅し、駐車場に車を停めると、ぼくはまっすぐに水鉢に向かった。完全に開いた白い花を見るために。
“急いで家に帰ったわけ” への2件の返信
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美事に咲きましたね~↑(^^_)ルン♪
本当に美しい[E:sign03]
蓮根が食べれる?(笑)( ̄¬ ̄*)じゅる
そうそう、あのレンコンにこんな花が咲くなんて。ぼくは睡蓮を育てていて、庭に大きな池が欲しくなりました。そこに、睡蓮や、ハス、ヤツガシラなどを植えるんです。きれいな花が咲いて、おまけにレンコンも食える。すばらしい。でも、たぶんカエルが湧くだろうな~。わが家にはカエルが大嫌いな人がいるので、ムズカシイ、かも。