ひさしぶりに晴れたのでドライブに出かけた。たまには近場で弁当を広げるのもいいんじゃない? と、ヨッパライ某に提案すると、それなら松元町にイイところがある、という。なんでも、なんとかという(名前は忘れた)陶芸家が山を買って窯を開き、ギャラリーをやっているのだそうだ。「まだ行ったことはないけれど、その広い敷地にはベンチがあって、弁当を食べるのによさそうな所だよ」と。
ぼくは映画サウンドオブミュージックの冒頭に出てくるような、山の頂に広い野原が開けている図を想像した。
山を越え、レンゲの咲く田んぼ道を走り抜けるとそこが目的地だった。車を降り、辺りを見回すと、想像したイメージとずいぶん違う感じがする。ヨッパライ某が弁当とコーヒーを持って行こうとするので、「ちょっと中の様子を見てからにしよう」とぼくはいった。落葉低木に覆われた細く薄暗い道を歩いていくと、山里の庵といった趣の小さな建物があらわれた。
中に茶碗や皿が並べられていたので、入ろうとすると、若い男の人がやってきて、「奥の展示場へご案内しましょう」と、広葉樹の生茂る細い道を歩き始めた。遠くでコジュケイの鳴く声がする。静かだ。5、6分歩いたところに展示場はあった。
「どうぞごゆっくり、あとでお茶でも召し上がってください」と言い残し、若い男の人は帰っていった。「おい、こんなところで弁当を広げたらヒンシュクものだぜ」と、ぼくはトナリの人にいった。展示場を出て帰ろうとすると、露地先の茶室から、先ほどの若い男の人が「お茶をどうぞ」と、声をかけた。にじり口から中に入ると、ちょうどコーヒーをドリップしているところだった。
縁側の向こうに広がる風景を眺めながら、ぼくたちはコーヒーを飲んだ。時折ウグイスの声が聞こえる。恐ろしく静かな茶室だった。
路地の土手に顔を出していた白い草。ギンリョウソウかな。
山の庵を後にして山道を下り、吹上浜に出た。今日のお弁当は、先日お客さんからいただいた手づくりレバーペーストとトマトをガーリックパンにはさんだもの。山の庵では食べられそうになかったので、吹上浜のベンチで、コーヒーを飲みながら食べた。
“弁当を広げるのによさそうな所” への4件の返信
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知り合いの方から紹介され
そこのギャラリーの記事のコピーをいただき読んだところでした。
よさそうな所だなぁと思っていました。
いつも気になっている所の情報をありがとうございます[E:happy01]
静かでいいところでしたよ。作品も、人間味があって、どこか愛嬌のある、おもしろいものばかり。コーヒーもおいしいでした。写真を撮ってネットに出していいですか? と聞いたら、ぜんぜんかまいません、とのことでした。カメラを持って、ぜひ行ってみて下さい。ぼくもデジイチが帰ってきたら、もう一度行きたいな、と思いました。
もしかしてお店の方は私と同じ名前では・・・
以前、某民放局でコーヒー店特集をしたときにも紹介されていたお店?
t o k u窯というところですよ。marutaさんもぜひ遊びに行ってみて下さい。marutaさんなら、一日中いても飽きがこないかも。