ぼやけた世界

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ずいぶん昔の話だ。自分のカメラで女の子の写真を撮りはじめたころのハナシ。ぼくはピントの外れた写真が嫌いだったが、女の子に限って、ピントがボケてるほうがよかった。最近になって、その理由が、薄ぼんやりとだけど理解できる。それは、自分の理想の女性をそこに投影しやすいからだ。自分にとっての理想の女性は、あたりまえのことだけど、自分の中にしかいない。ユングの言うアニマのようなもの。近ごろは女の子に限らず、ぼやけて写った写真が気に入ってきている。読者は気に入らないかもしれないけど、ぼくは、そういう世界が居心地がいい。自分の内面世界とシームレスにつながってるような錯覚を覚えて、ときに没頭、耽溺している。ボケて滲んだ写真は自分の世界を反映しやすい、心の棲む世界だ。