朝起きたら晴れていた。家を出たのが6時半。某国営ラジオを選局すると、昭和を髣髴とさせるあの番組をやっていた。特に聞く義理はないのでメモリープレーヤーに切り替え、TAKANAKAをかけた。山を超え、松林を抜けるとそこは海である。満潮であった。なんだか、いつもの海とは違う感じがした。チューニングがなかなか合わない。いつもなら海とぼくの波長はすぐに同調するのだが、今日はうまくいかない。海を眺めながらぼんやりしていると、遠くから役場の出納係みたいなおじさんがこちらに歩いてくる。通り過ぎてくれないかな、と思ったが、ぼくの横で立ち止まって、おもむろに海に向き直り、「今日はうねりがありますねー」とか言った。そっと横目で見ると、サザエさんに出てくる波平によく似ていた。なんとなく時空に乱れが生じ、そこだけ昭和にタイムスリップしたような変な雰囲気になった。おじさんは200字くらいしゃべるとUターンして戻っていった。ぼくは何気なくおじさんの足元を見た。影があるか確かめたのだ。しかし、ちゃんと影は付いていた。ぼくは顔と肩にサンオイルを塗り、ゴーグルをかけて海に入った。泳ぎ始めると、妙な違和感がある。なんだかおかしい。水が濁っているせいもあるのだけど、いつもと違う変な感じがする。ぼくはすぐに陸へと引き返し、海から上がってタオルで髪や体を拭いた。これといった理由はないのだけど、今日は泳ぐのは止めることにした。せっかくここまで来たのだし、すぐに帰るのはもったいなかったので、浜辺を走り回っているカニとしばらく戯れた。コンデジを持ってきていたので、それで何枚か写真を撮った。時計を見ると10時だった。
来た道を引き返し、山を超え、高速道路を飛ばして家路を急いだ。この時間なら、まだどこか遊びに行けそうだ。ICを下りて、坂を上っているとき、ケータイが鳴った。息子からだった。「今すれ違ったよ」という。ホームステイでアメリカに行く息子をヨッパライ某が空港に送るところだったらしい。「ぼくは今から霧島にドライブしようと考えてたんだけど」というと、「じゃあ、引き返してくる」という。息子の荷物をぼくの車に載せ変え、ぼくはコンデジをデジイチに取り替えて、空港に出発した。空港で息子を降ろし、車は霧島へと向かった。いつものようにえびの高原のレストハウスに行くと、建物がリニューアルされてきれいになっていた。今日は「夏休み、わくわくランチ」という新しいメニューができていたので、それを食べた。簡単にいうと給食のような味だった。高原をうろついていると、だんだん人が増えてきて騒がしくなったので、静かなところに行こう、ということになった。人気がなくて、閑散としている所。それは高千穂の麓、御池であった。ボートを借り、きょうはのんびりと漕いだ。いつものようにタイムトライアルをするには暑すぎる。