回復

腹痛で夜中に目覚める日々が続いていたが、その原因が分かった。寝る前に食べすぎたせいであった。一週間ほど前から風邪をひきかけていたのだが、ぼくは風邪をひきそうになると、とにかくたくさん食べて寝ることにしている。普段の倍近く食べる。薬は飲まない。たくさん食べてたっぷり寝ると、たいていの病気は治ると信じている。しかし、よく考えてみるとおかしな話だ。この前読んだ本にも、病気のときはあまり食べない方が良いと書いてあった。なぜそのような単純な考えに囚われ、実行しているのだろう。実をいうと、理由は分かっている。あのマンガのせいなのだ。カリオストロの城。ルパンの仕業なのである。劇中、ルパンは敵地に侵入しようとして失敗、深い痛手を負ってかくまわれる。彼は絶対安静の身でありながら、馬鹿げた量の食物を一気に平らげ、死んだように眠る。すると彼はウソのように目覚しい回復を遂げるのである。もちろん、これは虚構である。マンガの世界なのだ。しかし、そのあまりに見事な展開ぶりにぼくは甚く感動し、彼の生命力を支えるシンプルなライフスタイルは、ほぼ無意識的にぼくの記憶の枢要な部分に刻み込まれてしまったのである。

“回復” への2件の返信

  1. わたしはハイジの影響で、ミルクは木の器に入れて飲むと特別にうまいのだという妄想にとらわれています。
    いまでも時々全粒粉のパンにチーズに木の器(味噌汁椀で代用)で朝ごはんしたりします。
    草原の少女になった気分で足取りも軽くなります。
    一度お試しあれ。

  2. おや?奇遇ですね。
    ぼくもハイジの影響で、心が冷え込んだ時、悲しい時は、温かいスープが効くのだと信じてます。
    疲れている人を見ると、つい
    「温かいスープを飲んで、ぐっすり眠りなさい」
    などと口走ってしまいます。
    あのおじいさんの声色をまねて。

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