馬の目

盆休み二日目。東京の義弟が来るとのことで、家にいた。
自分でたてたコーヒーを飲みながら、店のステンレス容器を洗う。
音楽とうまいコーヒーがあれば、単純な作業もけっこう楽しい。
義弟は昼前にやって来た。
昼食はわが家の家族4人と冷やしそうめんを囲んだ。
帰りの飛行機まで時間があるとのことで、映画を観ることになった。
観たのは数日前録画した「シービスケット」。
シービスケットとは、古き良き時代のアメリカに実在した競走馬の名前だ。
競馬場でのレースの模様は、カメラも良く、すばらしく迫力があった。
大きな画面とHiFiなオーディオがあるとかなり楽しめるはずだ。
思ったとおり、脇役ではあるが本物の騎手が出演していた。
体から滲み出るリアリティーが相手役の虚構を際立たせてしまう。
特に目の表情がいい、と思った。馬の目を思わせる。
長年、馬と付き合っていると、こういうやさしい目になるのかもしれない。
「映画って、いいですね」つぶやくように言って義弟は帰っていった。