吸血鬼の夜

酒が切れた。
ぼくは寝る前に酒を飲む。
ここのところ、お気に入りはカンパリである。
まず色がいい。
動脈血を薄めたようなきれいな赤。はるか昔、ぼくが吸血鬼だったころを思い出す。
わけがないが、この輝ける赤は、その昔、夜が危険であったころの記憶を呼び覚ます。
夜はいざなう。吸血鬼は処女の生き血を吸う。
思い当たる方は、夜、出歩かないように。