ぼくは、今、とても眠い。
風呂に入るのも、億劫だ。
歯を磨くのもめんどくさい。
でも、ビールは飲みたい。
それでは、今からぼくは、
1,風呂に入ります。頭は2回洗います。
2,歯を磨きます。
3,ビール(YEBISU)を飲みます。
4,ねる。
セットアップ
意外と
夕方、地方に住む友人から電話があった。
「この前みたいに、コーヒーを五千円分、適当に準備しておいてくれ、明日取りにくるから。意外と好評でね」
この友人自身はコーヒーを嗜まないのだが、彼の近くに住む知人がコーヒー通で、「友人がコーヒー屋をしている」と話したら俄然、興味を示し、そのコーヒーを買ってくるよう、彼に依頼したのだった。そのコーヒーが「意外」にも好評で、今回、再び注文が来たというわけ。
そう、当店のコーヒーは「意外」と好評なんですね。
午前1時のORION
遠いところ
気分はワラシベ長者
アダージェットな昼下がり
江口浜の蓬莱館に昼飯を食いに行ったところ、満員で、30分待ち、とのことだった。いくらなんでも30分は長すぎる。ぼくにとって、休日の30分はとても貴重なのだ。車はUターンし、国道を南に向けて走り出した。シュトラウスのワルツをかけながら車を走らせていると、いつしか流れ去る看板の文字がドイツ語に見えはじめ、気がつくとぼくはオーストリアの田舎町を走っていた。フキアー・ゲッフェンの町を過ぎた頃、右手に大きなビール工場が見えてきた。やはりオーストリアは違うな、などとつぶやきながら車を飛ばした。シュトラウスが何曲か続き、ぼくはマジでヨーロッパの田舎町を走っている気分になっていた(ヨーロッパには行ったことがないのだけど)。やがてシュトラウスが終わると、再びぼくは日本の田舎道を走っていた。昼食は大浦にあるナントカ食堂のてんぷら定食にした。ここのてんぷらと刺身はカナリうまい。店内は強烈な演歌がかかっており、先ほどまでのオーストリア気分はカンペキに粉砕した。店を後にし、車は近くの亀ヶ丘に向かった。カーステレオからは、マーラーの交響曲第5番4楽章アダージェットが流れ始めていた。ぼくはボリュームを上げて聞き入った。あの映画の一こまが浮かんできた。「ベニスに死す」すばらしい映画だった。ベニス…。ああ、いい響きだ。そう、どうせ死ぬならベニスがいい。ここ、亀ヶ丘からの風景も美しい。遠く広がる海。沈む夕日。銀の波間を往来する船のシルエット。だが、ここで死んだら、亀ヶ丘に死す、だ。ぼくはここでは死ねない、と、思った。
空き地
家の前に空き地がある。その少し先は崖だ。崖の向こうには遠く街が広がり、その背後は海。ぼくは今まで屋上でビールを飲んでいた。目の前は空き地。でも、夜だから真っ暗だ。その遠くで街の明りが瞬き、その向こうには停泊中の船の明りが見える。ぼくは空になったビールの缶を、空き地に放り投げようとした。そしてそれを思いとどまり、部屋に引き返した。ぼくはいつもこれを繰り返している。
ダークサイド
店の帰り、ブツヨク同盟の盟主、koji4432さんの家に寄った。新しいブツを見せてもらうためだ。新しいブツは、部屋の中央に鎮座していた。それは、最新鋭のハイビジョン・プロジェクター。ぼくも映画を見るのにプロジェクターを使っているが、この新しいプロジェクターは、映像の中の黒が、真っ黒に沈む。黒くあるべきところが黒い。暗い夜は、本当に暗い。それだけで、映像がずいぶん違って見える。本物が、より本物らしく見える。
ところで、ぼくとは、どういう人であろうか。ぼくが知っているぼく。人が知っているぼく。ぼくは知ってるが、人は知らないぼく。人は知っているが、ぼくは知らないぼく。そして、ぼくも、人も知らないぼく。
ぼくのあるがままの姿を、せめて、友人たちには見せておきたい。さもないと、友人たちは、本物のぼくに声をかけることができないかもしれない。そう、暗いところは暗く。
不思議の国のアリス
ずいぶんむかしのことだけど、一時期、素粒子にハマっていた。何がきっかけでそうなったのかは思い出せないが、とにかく、おもしろくて、その関係の本を買ったり、図書館に通ったりしていた。でもいつの間にかその熱も冷め、今は、素粒子関係のニュースを見ても、心が踊るようなことはなかった。ところが、ご存知リサ・ランドールという物理学者が「5次元宇宙理論」なるものを引っさげて現われて以来、ぼくは俄かに興奮しはじめた。しかもその理論が、先月稼動した(ヘリウム流出事故で運転停止中、運転再開は来年春)CERNで実験され、もしかすると実証されるかもしれないというのだ。これは、分かる人には分かる、とんでもない事件だ。
以下、彼女の著書、ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く、の解説より引用します。
宇宙は、私たちが実感できる3次元+時間という構成ではないらしい。そこには、もうひとつの見えない次元があるというのだ。もし、もうひとつの次元が存在するのなら、なぜ私たちには見えないのか? それは、私たちの世界にどう影響しているのか? どうしたらその存在を証明できるのか? 現代物理学の歩みから最新理論まで、数式を一切使わずわかりやすく解説しながら、見えない5番めの次元の驚異的な世界に私たちを導いていく。英米の大学でテキストとして使われている話題の書Warped Passagesの邦訳。 ¥3,045(税込)←ううう
ところで、リサ・ランドールが物理学に興味を持ったきっかけは、母に買ってもらった「不思議の国のアリス」だったそうです。
去年NHKで放映された「リサ・ランドール 異次元への招待」をyoutubeで見ることができます。