1 ガリガリ君ソーダをグラスに放り込む
2 冷えたウォッカをドボドボ注ぐ
3 眉間にしわを寄せ、グラスを見つめる
月夜
チンについて
12時だ、昼だ、弁当だー! というわけで、いつものように家から持参した弁当を電子レンジに放り込み、ドアを閉め、レバーを回した。
シーーン
ん?反応がない。カチャ、カチャ、変だな。バンバン、ガンガン、バキッ!
シーーーーン
しばらくどつき回してみたものの反応なし。どうやら本気で壊れたらしい。熱帯雨林で新しいのを注文しようと考えたが、このレンジ、6年前の誕生日に家族からプレゼントされたものなのだ。クールなぼくでも捨てるのに気が引けたので、とりあえず修理することにした。
修理していて目についたのが金属のベル。あの、チン♪ の音源だ。なんと、このベルに配線コードの束がなれなれしく絡んでいる。使い始めたときからチン♪とは鳴らず、ガッ!という、下品な音がしていたのだ。ぼくの感受性は繊細なので、この「ガッ」がとても嫌だった。修理のついでにベルに絡んでいるコードの束を引き離したのは言うまでもない
夏
入道雲に向かって車を走らせる
あの日のきみに会える気がして
波打際を歩きつづける
きみがずっと先を歩いてる気がして
夏の大三角形
仕事を終え、家に帰りついたのは午後8時だった。喉が渇いていたので、夕食前にヨッパライ某を誘い、屋上で缶ビールを開けた。空は雨雲に覆われていたが、わずかな雲間から西の空には太った三日月、南の空には木星と土星が顔を出していた。ぼくはビール片手に、あれが木星、その左が土星、と説明した。ビールを飲みながら映画の話をしていると、流れる雲間から、ベガとアルタイル、続けてデネブがひょっこり顔を出した。ぼくはすかさず、あれが織姫と彦星、そして白鳥座のシッポ、と説明した。満天の星だと星が多すぎて、どれが何なのか説明しにくい。でも、舞台に立った役者にスポットライトが当たるように星が登場したおかげで簡単に説明できた。