先日お客様にいただいたチョコレート。袋に包まった五円玉の形のチョコが、おみくじの箱に35個入っている。この中に、一つだけ大凶が入っているらしい。団地の某コーヒー屋ではこれを今日、お客さんに出したそうだ。ほとんどの方が大吉だったらしい。が、出た、ついに大凶が出た。いわく、「仕事運。うっかりしてパソコンのデータを消すかも」。いまひとつ迫力に欠ける内容ではあったが、これをひいた方は事務職だったそうで、かなりびびっていたという。
雨の街を
謎の港の夢
いつものことだけど、変な夢を見た。どこの港なのか分からないが、ぼくは船にのっている。その近くを別の船が通り過ぎてゆくのだけど、それが普通の船ではない。その船の甲板は陸地なのだ。あちこちに木や草が生え、ところどころ古い平屋の家が建っている。舗装はされてなく、でこぼこの土がむき出しになっている。それが海上をゆっくり進んでいく。ずいぶん前にも同じような夢を見た。でもそのとき、その船は港に接岸していた。
悲しみが雪のように降る一日
毎日たくさんのメールが届く。しかしそのほとんどが読むに値しないメールだ。読むに値しないメールを「これは読むに値しないメールだ」と断定するには、ある程度読み進まねばならない。最近のこの手のメールは読ませるために偽装してくる。この苛立たしい労苦を察してか、ぼくの使っているサーバーでは「迷惑メールフィルター」というサービスを準備した。どういう仕組みか知らないが、これを使うと、キンチョールをシューッとやったように、害虫メールはほとんど来なくなる。思わず快哉を叫びたくなるすばらしいサービスだ。しかし欠点がある。稀にだが、正常なメールを誤って検知してしまう。今までに分かっただけでも2件ある。これはまずいと思い、新たに重要なメール専用のアドレスを作り、それにはフィルターをかけないようにした。いうまでもなく平和は長くは続かない。新装したアドレスも一ヶ月もしないうちに、いつものろくでもないメールであふれ出す。1日2、3通なら許せる。でも10通を超えると温和なぼくも平静ではいられない。テーブルを叩き、いらいらしながら新しいアドレスを作り、それにかかわる数種類のプログラムの設定をやり直す。半日かかる。無駄に失われた時を思うと悲しくなる。今日はヒマだったので、それをした。
扉
できのいい映画。たとえば昨日書いたトリュフォーの「突然炎のごとく」。おもしろさは当然として、いいものを見た、という満足は相当なものだ。それは新しい扉を発見した喜び。自分の中にあるにもかかわらず、悲しいかな、今まで見えなかった扉。それが開かれる。主人公の思い、悩みに深く共感できるなら、その扉はリアルに現れる。
ジュールとジム
録画しておいた、トリュフォーの「突然炎のごとく」を見た。5年ぶりに、また見た。ジュールとジムの物語。恋に生きる女、カトリーヌ。恋はすばらしい。道端の花は耳元でささやき、星は輝きを増す。でもそれは幻。人に与えることは出来ない。恋は奪い、愛は与える。
音の蜃気楼
さっきまで星空を眺めていた。うっすら雲がかかり、それは磨硝子を通したような星空だ。風はないが、かなり寒い。ふいにどこからか規則的なリズムが聞こえてきた。踏み切りの警報機の音だ。しかしこの近くには踏み切りはもとより鉄道がない。でも聞こえる。ははあ、これがうわさの銀河鉄道か。まさか。理由はそう難しくはない。寒いせいで山向こうの音が伝わってきたのだろう。宮沢賢治もこんな経験からあの作品を生み出したのかもしれない。
雨の街で
久しぶりに友人たちと飲む。数えると6人いた。どうでもいいことを話しながら、ふと、あることに気づいてがっかりした。ここにはサラリーマンが一人もいない。今夜ぼくは気が置けない間柄の平凡なサラリーマンと酒を飲みたい、と感じていた。サザエさんに出てくるマスオさんみたいな。それはたぶん、今夜が雨の土曜日で、以前ぼくがサラリーマンだったからだと思う。
羅針盤
いつものことだけど、また今日もいい加減な考えが頭に浮かんだ。
人間には二通りある。自分が何を求めているか知っている人と、それが分からない人だ。
そういえば何年か前、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」という映画の中に「人生は複雑とは限らない、求めるものを知っていれば」という言葉が出てきて、はっとさせられたな。
夜間飛行
これは今夜9時に撮ったオリオン座。今のカメラを使えば簡単に撮れる。実にあっけない。ちょっと前まで、天体写真は一部のマニアのものだった。あの頃、星の降る夜空は深く神秘的だった。手の届かないものだった。もちろん、今でも手は届かない。しかし、そのへんのチャラ男でも簡単に写真に撮れるようになって、その神秘性はグッと低下した。ような気がする。という話をするつもりじゃなかったのだった。今夜も星空がきれいだ。今も星空を眺めていたところだった。吸い込まれそうな星空を眺めていると、そこを必ずジェット機が横切っていく。ぼくはこれが大嫌いだった。石を投げ付けたくなるくらいに。でも今は違う。星空を横切る小さな光が切なく愛おしい。自分でも、この心境の変わりようには驚いている。サンテグジュペリの「人間の土地」を読んで以来、星空を横切る赤い点滅が、彼の操縦する飛行機とオーバーラップするようになった。