テントの穴

120913_02
店のテントはずいぶん前から穴が開いている。修理代を見積もったら5000円くらいと言われた。数年前の話だから、穴が成長した今、それは10000円くらいに膨らんでいるかもしれない。毎年この時期になると、この穴から冷蔵庫付近に夕日が差してくる。悪くない。19世紀のヨーロッパのような趣がある。ヨーロッパにはまだ行ってないけど、そんな気がする

South Bound

120913_01
南の島で仕事をしている友人が、南の島から新しい話を持ってやってきた。ああ、今年も南の島に行けなかった。今年こそ、来年こそは、といつも思いつつ。
ああ、明日にでも行こう、あの島へ。そしてあそこに小屋を立てよう。壁は泥土、屋根は草葺きでいい。豆の畑は畝を九つ、蜂蜜用の巣はひとつ。その蜂たちの羽音のなかで独り暮そう。ああ、あそこなら、いつかは心も安らぐだろう
イニスフリーの湖島 イェイツ 加島祥造 訳

人生時間

午前中いらしたお客さんは、朝一番で映画を見て、その帰りに寄ったのだそうだ。何を見たんですか?ときくと、高倉健が出ているやつ、といった。ずいぶん年をとっていてびっくりした。見ないほうがよかった、と、さびしそうにいった。昼過ぎいらしたお客さんも、どういうわけか同じ話を始め、同じようなことをいった。ぼくは邦画には興味がないけど、ちょっと気になってyoutubeで予告編を見てみた。おじいさんになった高倉健がいた。夕方、twitterでつぶやいたら、ある人がそれに応えてwikipediaの人生時間という項目にリンクを張っていた。それによると人生時間とは人生を1日の時間であらわしたもので、年齢を3で割ることで算出される。30歳の人は午前10時といった具合。ぼくはおそるおそる電卓を叩いた。表示されたのは店の閉店前の時間だった。なるほど、と思った。そこでふいに高倉健のことを思い出し、電卓を叩いた。出てきた数字を見て思わず吹きだしてしまった

フェイス・オフ

痩せましたね
店にいらっしゃった常連さんが口々に言う。
おとといまで、そんなこと一度も言われなかったのに。
実は昨日、あるものを取り替えたのだ

ゴーストクラブへようこそ

120903_10
120903_01
120903_05
120903_02
120903_04
120903_03

ghost crab

120903_07
120903_09
120903_06
120903_08

なじみの浜辺の、あの足の速いカニの名がゴーストクラブだと知ったのは、最近読んだ本の次のくだりのおかげ。
「じつはその夜、わたしたちはゴーストクラブとよばれるカニをさがす探検にでかけてきたのです。このカニは、昼間、海辺で遊ぶロジャーの目を、ときどきちらっとかすめてはすばやく砂のなかにもぐっていく、砂と同じ色をした足の早いカニです」
レイチェル・カーソン センス・オブ・ワンダーより

120903_11