午後になって急に薄暗くなり、やがて雨が降り出した。「雨の水曜日だ、気をつけろ」頭のどこかでかすかな声がした。雨の水曜日。何かが起こる。得体の知れない何かがやってくる。そうだ、今までの経験上、そうなのだ
夕方、雨の中を墓場のT少年がやってきた。いままで某お寺の裏にある寂れた墓場を探検していたのだという。彼の周りがぼんやり暗く感じられるのは気のせいなのか。彼一人なら何ら問題はない。目に見えない何かを連れてきたりしなければ
彼が墓場で使用しているカメラ
キュルキュルガーガーガー。古いカセットテープは悲痛な音を立てて巻き戻されていく。年を取ったせいかもしれない、最近、アタマが固くなったと感じる。思い込み、常識、前例、先入観、固定観念。そんなものに縛られて身動きが取れなくなる。と。こんなとき、ぼくはあるアルバムを取り出して聞く。そのひとつが吉田拓郎の「元気です」というアルバム。その冒頭は「春だったね」だ。これを聞くとぼくの頭の中にあるカセットテープがちぎれそうな音を立てながら巻き戻っていく。