A LONG VACATION 2日目

昨夜はビール片手に暮れなずむ空をいつまでも眺めていた。やがて星が一つ、二つと輝き始め、何か新しいことが始まりそうな予感がしたのだった。宇宙は途方に暮れるほど広く、めまいがするほど深い。ちょっと寒かったが、いい気分だった。そんなわけで今日は久しぶりに宇宙人に会いに出かけることにした

彼らが母船から脱出するために使ったライフポッドは錆にまみれてはいるものの、まだ同じところにころがっていた

いつの間にか彼らが飼っている宇宙犬がぼくを嗅ぎつけて近寄ってきた

なんだ君か。林の奥から宇宙人がやってきて言った。といっても、声に出して言うのではなくテレパシーで言うのである

久しぶりだな、と、彼は言い、熱いコーヒーでも淹れよう、と言った

A LONG VACATION 1日目

起床6時50分。休みなので目覚ましは鳴らない。ヨッパライ某を起こさないように寝室を出て洗濯機に冬物の衣類を投げ込み、スイッチオン

コーヒーを点てて屋上に上がり、コーヒータイム。疲れがたまっていたのか、山々の新緑が目とココロに染みた

のこぎりを持って塀に上り、玄関前の枯れた木の枝を掃う。今年の冬がそれほど寒かったとは思えないのだけど、今年に入って庭の木が3本枯れた

庭の手入れをしていたら、注文してあったドアホンが届いたので、古いのを外し、新しいドアホンを取り付ける。

常連のお客さんが、今朝取れたコサンダケを持ってきてくれたので、昼食はそれを使ってスパゲティーを作った。とってもおいしかったです

愛のハブラシ その2

ずいぶんむかしの話。遠藤周作著「ぐうたら怠談」に吉永小百合との対談があって、その中で遠藤周作が結婚を間近に控えた吉永小百合に次のような質問をしていた。


周作 それなら君はいま、彼の使った歯ブラシを使えるか。たとえ彼がシソーノーロウでも。
小百合 (即座に強く)それは使えるわ
周作 (驚いて)えっ、本当か。
小百合 ええ。


ぼくはこの問いの意味がよく解らなかった。遠藤周作がなぜ驚いたのかも。恋人同士、夫婦間なら同じ歯ブラシをふつうに使えて当然、と思っていたし、事実、そうしていた。
何年か前、ふとこの対談を思い出し、新婚ほやほやの常連のお客さんに聞いてみた。
「彼の歯ブラシ、使える?」
「無理!」
即答だった。
以来、何度か親しいお客さんに聞いてみたが、答は芳しくなかった。

雨のバラ園

今日は定休日。目覚ましは鳴らない。目覚ましは鳴らなかったが7時前に目が覚めて、なんだか損した気分。ヨッパライ某が髪を切りたいというので、散髪屋に車を走らせた。

ヨッパライ某を散髪屋の前で降ろし、動物園の手前にあるバラ園に向かう。

雨に煙るバラ園。向かいの動物園から正体不明のケモノの叫び声が響き渡り、ちょっとビビる。やぁね

いつものことだけど、バラの匂いを嗅ぐと脳のどこかが刺激され、タイムスリップしそうになる。

バラ園を後にし、ヨッパライ某を拾って山を越え、いつもの漁港近くのスシ屋に向かった。時間に余裕があったので、近くの丘に登り、海を見ようとしたが、雲に包まれて何も見えなかった。横殴りの雨のせいでズボンと靴はビショビショ

安い方のスシ定食を食べるつもりだったけど、日替わりがアラ炊き定食だったのでそれにした。とてもおいしかったです。880円。

帰りに海沿いの公園に寄った

土手の白い花はシャリンバイ

シャリンバイ

ヨッパライ某を病院に送った後、海に行った

あちこちにシャリンバイやトベラが咲いていて、仄かに甘い香りが漂っていた

肉の直売店に寄って肉を買った。今夜は今年最初のバーベキュー

レモンイエロー

誕生日の夜、ワインを飲みながらヨッパライ某が言った。
何か欲しいものはないの? 欲しいものがあったら買っていいよ。
ぼくはしばし思いをめぐらせ、そして言った。
ない
ふーん、歳をとったね、と、ヨッパライ某は言った。
いや、今はカタチのないものが欲しいんだ、とぼくは言った。

20代の頃からずっと欲しいものはあった。そしていつか手に入れるつもりでいた。それはレモンイエローのポルシェ。20代の頃、知人が貸してくれた松任谷由実のビデオクリップ集に、一瞬、ポルシェが出てくる。それがぼくの脳裏に焼き付いて離れなかった。今日、久しぶりに見てみたら、ポルシェはレモンイエローではなく、白だった。見なきゃよかった。ぼくは大事なものを壊してしまった。

ピース オブ マインド

今日は三ヶ月に一度の歯のメンテナンスの日。ぼくは思う。男にとって髪の毛はとても大事だが歯もかなり大事だ。技工士のお姉さんは歯を一通り検査した後でいつものように言った。歯は何分くらい磨いてますか? 以前、3分、と言ったら笑われたので、2分と言ってみたが、やはり笑われた。

朝起きたらテーブルにピクニック用の弁当が作ってあった。明日は天気がよさそうだから、どこかで花見をしよう、って昨夜ぼくが言ったのだ。弁当はぼくが作るつもりでいたのだけど、ヨッパライ某が朝早く起きて作っていた。ぼくが作ろうと思ってたのに、と言うと、あなたのはおいしくなかったから、と言った。

歯医者を済ませ、海岸通りを南に走った。海に面した山を上り、満開の桜の木の下にイスを並べ、弁当を広げる。フタを開けると、使っている具材は同じなのに、ぼくが作ったのとはまるで別物。時々花びらが落ちてきて弁当に淡いピンクのアクセントをつけてくれる。平和だね、とヨッパライ某がつぶやいた

マヨネーズべっとりの魚肉ハムもちゃんと入っていた

家に帰り着いて屋上で乾杯。風はまだ冷たいけど、feel so good