車は海沿いを走っていた。海の上ではオリオンが冷たく輝いている。閉店後、ぼくの車は、南にある某植物園に向かっていた。この時期恒例のクリスマス・イルミネーションを見るために。到着したのが午後9時。レストランで食事をするつもりだったが、レストランは9時までだった。ぼくは腹をグーグー鳴らしながら、園内をブラブラ歩き回った。日曜の夜なので、人はまばらだろうと思っていたが、意外と多い。特にアベック。ぼくは何度も「写真を撮ってください」と、声をかけられた…
アベックだらけ
光のトンネルを抜けるとそこは
恋人たちは密室へと消えていった
やらしい目のサンタ
9時50分。 閉園を知らせる音楽が園内に流れはじめた。
園を後にし、しばらく走ったところで車を停め、外に出て空を仰いだ。
満天の星。
天頂近くで、昴が妖しく輝いていた。