半月ほど前、ネットに面白い記事が上がっていた。某国営放送HP「視点・論点」に掲載された「人工知能と黒魔術」という記事。おととい、人工知能を勉強している学生さんが店にいらしたとき、この記事のことを話したところ、仲間の間でもかなり話題になっている、とのことだった。5分で読める短い記事なので、直接読んだ方がいいと思うのだけど、とりあえず以下に端折って書き写します。
現在、人工知能の開発は飛躍的に進んでいるのですが、実は同時に科学者やエンジニア達は今、少し困った状況になっています。それは、人工知能の性能を上げるほど、なぜ性能が上がったのかを説明できなくなっているのです。
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驚かれるかもしれませんが、この「黒魔術」は人工知能の世界でもスラングとして定着しており、どうやって生まれたのか、あるいはなぜ効果が出るのかわからない技術の総称となっているのです。当然ながら、人工知能を研究する学問分野である情報科学は、もともと論理や数学が支配する世界でした。理論や理屈がすべてを説明できる世界だったということですね。しかし、現代の情報科学、とりわけ人工知能の分野では、だんだんと黒魔術の影響力が強くなってきています。
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私たちが普段の教育で触れる科学は、基本的に還元主義という考え方でできています。還元主義は「物事を分解し、細部の構造を理解していけば、全体を理解できる」という考え方です。科学者でなくても、この考え方に賛同する方は多いと思います。たとえばあなたが時計というものを完全に理解しなければならないとしたら、まずすべての部品を分解して、歯車やゼンマイのしくみを知り、それぞれの動作を把握するはずです。そして今度はそれらの部品を再度組み立てます。そうした作業をへて、時計という機構は理解できるようになるのです。熟練の時計職人であれば、時計がどのようなしくみで動き、どうすれば性能を上げることができるのかを明確に説明することもできるでしょう。しかし知能を理解するには、この還元主義的な考えではうまくいきません。
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要素を切り分けて個別に理解していくという、還元主義という伝統的な科学の思想とは相容れない——。結局、知能というのは隠された方程式があって、それを解き明かすのではなく、どこまで行ってもモヤモヤしたよくわからないものであることを受け入れるしかない ?? それが今の人工知能の研究者たち・エンジニア達の実感なのです。
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なんだか不安になりました(笑) まるでSFですね。アシモフの未来小説の序章を読んでるみたいな