冷蔵庫の時間

一番好きな電化製品が冷蔵庫であることに変わりはない。冷蔵庫はぼくのアイデンティティーの重要な部分に関わっている。その冷蔵庫にスイカが一個入っている。それは数週間前、宅急便で送られてきた。ぼくはスイカが好きだ。いや、好きというより愛しているといった方が近い。なぜならぼくは今、スイカを憎んでいるからだ。スイカは好きだ。でも食べたくない時がある。今の時期がそうだ。原因は常にぼくにあってスイカに非はない。ぼくは苦しみ、スイカの存在を憎む。そんな時、冷蔵庫はぼくに束の間の安らぎを与えてくれる。しかし、その平安を幸せと呼ぶのは間違っている。冷蔵庫は人を幸せにはしないものなのだ。