サンテグジュペリの星の王子さまを久しぶりに読んだ。今回は河野万里子さんが訳したのを読んだのだけど、これまで読んできた内藤濯さんの訳とはだいぶ違った印象を受けた。たとえばキツネが別れ際に王子さまに秘密を教えるシーン。
内藤濯さんの訳では…
「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思っているのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」
河野万里子さん訳では…
「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」
となっている。
いずれにせよ、この物語に出てくる王子さまとバラに関するエピソードは妙に切実で、サンテグジュペリ自身の深い悩み、悲しみがひしひしと伝わってくる。夏の終わりに読むにはチト辛い物語なのだった。