雨の音を聴く男たち

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朝から雨が降っている。気圧が低いせいか頭がはっきりしない。時の過ぎ行くまま、ぼんやり雨の庭を眺めていると、なんとなく静かなクラシック音楽が聴きたくなってきた。ふと、自作の真空管アンプとTANNOYで室内楽を聴いているという、常連のお客さんの顔が浮かんだ。電話をしてみると運よく在宅されていた。ぼくは北に車を走らせた。小さな丘を二つ越え、川を渡り、坂を上って、場所がわからずに住宅地の路地をぐるぐる回っていると、雨の十字路に見覚えのある初老の紳士が微笑んでいた。車を停め、玄関に案内されると奥からリュートをかき鳴らす音が聞こえてくる。こんな雨の日にふさわしい、どことなく憂いを帯びた演奏。だれが弾いているのだろう、と驚いていると、それは件のTANNOYから流れていたのだった。
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“雨の音を聴く男たち” への2件の返信

  1. 右のアンプの下にあるのはタンノイのカンタベリーですね.
    左のアンプは300B?黄色い文字はウエスタンのネームかな??

  2. やはりカンタベリーなんですね。ネットで調べたらデザインが微妙に違っていて、ちょっと気になってました。いい音で鳴ってましたよ。ぼくはこのスピーカーが大変気に入りました。おとなしいデザインで、部屋にしっくり馴染んでました。ほかの調度品と張り合うところがなく、長く使えそうだと思いました。音は朗々として固まることがなく、電気臭さのないナチュラルなものでした。お察しの通り、左のアンプは300Bで、黄色い文字はウエスタンのネームでした。

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