自宅周辺の探検はまだ続いている。今日はふれあいスポーツランドの一番奥の道を下りてみた。下りきってみると、そこは田んぼだった。大きな水路があって、きれいな水が流れている。ぼくは水路を上流にたどっていった。しばらく歩くと平地は終わり、山の入り口にさしかかった。水路は山の崖に吸い込まれ、道は山の中へ入り込んでいった。
道の左手になにか看板がある。旧伊作街道。ぼくはびっくりした。この道は吹上浜に行く時に通る、あの伊作街道の旧バージョンなのか? ここを上っていけば、旧伊作峠にたどり着き、もしかするとそこからは海が見えるかもしれない。ぼくは急にわくわくしてきた。ぼくはどんどん上っていった。道は高木に覆われ、かなり暗い。交通量は、まったくない。今日はぼくの貸切らしい。
どれくらい歩いただろう。そろそろ峠になってもいいんじゃないか、と思い始めたころ、某電力会社の変電所が見えてきた。それを右手に見ながらさらに上っていくと大きく視界が開け、広い道路に出た。しかし、車が走っていない。その道を右に上ったところが変電所のようだ。ぼくは道を下っていった。
すると車の往来する騒音が聞こえ始め、やがて道路が見えてきた。道路に出てみると、ちょうどバス停があって、「平治」と書いてある。これはいったいどの辺なんだろう。伊作峠でないことは確かだ。ぼくはがっかりした。ぼくは引き返すことにした。
家に帰り着いて地図で調べてみると、伊作峠は「平治」のバス停からほんの少し上ったところだった。いずれにせよ、そこはぼくが頭に描いた、海の見える旧伊作峠ではなかった。
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