オレという現象

窓の外が明るくなったころ、煙のようにオレは現れた。だが、その時オレはまだオレではなかった。オレは何かに取り付かないとオレになれない。やがてオレはなぜかひどく頭痛のする肉体に入り込み、目覚め、酒臭いベッドから這い出した。そうだ、頭痛の原因は昨夜某屋敷で飲んだ酒のせいだ。悲しいかな、オレの肉体はめっきり酒に弱くなった。オレはベッドから立ち上がり、一歩踏み出してよろめき、足の小指を椅子に引っ掛けて激痛のあまりその場にうずくまった。