暑い午後

080720_02
カラマーゾフの兄弟をピンカラ兄弟の仲間と思っている人がいるようだが、それは誤りだ。二つは似て非なるものである。兄弟で思い出したのだが、ずいぶんむかし、テレビでこんな標語が叫ばれていた。「人類は一家、人類は、みな兄弟」。すばらしい標語だ。しかし、続いて「戸締り用心、火の用心」と連呼するのには首をひねらずにいられなかった。さて、今日みたいに暑いヒマな午後、カラマーゾフの兄弟を読んでいると、たとえば、こんな文句がサラリと出てくる。
「科学の中にあるのは人間の五感に隷属するものだけなのだ」
なんだ、定義的にあたりまえのことを言ってるだけじゃないか。でも、ぼくはクラッとくる。電気が流れる。言葉がぼくのスイッチをオンにする。文の流れでそうなるらしい。だれだって、自分のことは自分が一番よく知っている、と思いこんでいる。でも、それは違うんだよね。