豆を焼き終わってホッとしているところに電話が鳴った。
「お忙しいところ大変申し訳ありません…」若い女性の声。
「株式会社○○と申します…」
時々電話してくるサラ金会社であった。
ぼくが金に困っているのをどこで知ったか、定期的にかけてくる。
いつもは軽薄そうな男がなれなれしく話しかけてくるのだが、今日は違った。
テレビで見た覚えがあるのだが、頭にヘッドセットをかぶり、愛想良く話しかける、あのカワイイ声だった。
ぼくは一瞬たじろぎ、
「いまはお金がたくさんあるので、いるときはお願いします」
なんて言ってしまった。