夕方、コーヒーを買いにいらしたお客さんから質問があった。「昨夜のロケットの写真、どうやって撮ったんですか」と。夜の街の上空を上昇していくロケット。その軌跡が大きな弧を描いている。普通だったら「カメラのシャッターを2分くらい開けっぱなしにして撮ったんですよ」で済む話だ。しかし、お客さんは言った。「そんなに長い時間シャッターを開けたら夜景が露出オーバーするでしょう」と。ロケットはフレームの中を刻々と移動するので露出オーバーにはならない。でも、街の灯りは動かないので露出時間を長くすると白くとんでしまう。お客さんはカメラに詳しいので、写真を見て首をひねったのだった。実は前日のロケット写真は、比較明合成という、天体写真ではおなじみの方法で作成されているのです。1分50秒の動画を約2800枚の静止画にばらし、専用のソフトに投げ込んで作ったのでした。
この写真は3秒置き、40枚の画像で比較明合成したもの。ロケットのスピードと向きによる炎の変化がよくわかります。
P.S.
ロケットを見ていて思ったのですが、ロケットの炎は予想していたより明るく、また、とてもゆっくり上昇していたので、2分程度の露出の場合、ISO100、絞りf11~16くらいで撮影すれば、夜景も白く飛ばず、ロケットの軌跡もちゃんと写るんじゃないかと思いました。比較明合成は面倒なので、次回はこれで試そうと思います