知らない男の匂い

家族はもう寝てしまった。ぼくもフロに入って寝ることにした。フロにはいり、髪を洗おうとイスに腰掛けると、にわかに知らない男の匂いがプンと漂い、ギョッとした。そうか、息子のヤツか。それにしても何を勘違いしているのだろう、昭和オヤジみたいな匂いの整髪料を使いやがって。今時こんな渋いのを使っているのは床屋くらいのもんだぜ。と、そこで気づいた。今朝ぼくは床屋に行ったのだ。