微熱少年のお正月

昨年末、ぼくはある決断をした。もう年賀状は書かないぞ、と。理由はいろいろあったが、そのどれもが子どもじみていて、このような重大な決断を下すには迫力を欠くものであった。でもなぜかぼくはそう決めてしまった。年が明けた。友人、知人、お客様から年賀状が届き始めた。いつもなら喜んで一枚一枚読んでいくのだが、まるで呪文にかかったように一枚も手に取ることができない。年賀状は、いまだ読まれることなく、ぼくの机の上に載ったまま。だれから届いているのかも分からない。いったいいつになったらこの呪文は解けるのだろう