ビールと星には秘密があるのです

夕食後、屋上でビールを飲んでいると海のほうで花火が上がり始めた。
どこだろう、卸団地かな。ヨッパライ某が言った。
卸団地の花火大会かもね。
ぼくはベンチに腰掛け、空を眺めていた。酒をあまり飲まなくなったせいか、缶ビール一つでいい気分になる。
ぼくはいつものように、つかみどころのない話をはじめた。
分かろうと近づいていくと、それは逃げていくんだ。やっとそれが分かったよ。
ヨッパライ某は聞くともなしに聞いていたが、話が終わったと知ると、先日テレビで見たというカバの話をはじめた。見かけはおとなしそうだが現地ではワニより恐れられている、という話だ。カバが獰猛なのは知っていたので、ただ頷いていたが、その後の一言が興味を引いた。イルカの祖先はカバだというのだ。ふん、そんなカバな。
あ、流れ星、とヨッパライ某が叫んだ。ぼくには見えなかった。
あ、でかい! ぼくは叫んだ。大きな流星が右手を流れた。ヨッパライ某には見えなかった。
二人で星空を眺めていると、西に傾いたさそり座から小さな光がぐんぐん上ってきた。
あれはなんだろう。点滅しないし、飛行機じゃないね。
ずっと目で追っていたが、天頂付近で見えなくなった。ワープしたのかもしれない。
あとで調べてみると、それはただの国際宇宙ステーションだった。