30日

朝起きると12月30日だった。つまり、今日は自宅の大掃除の日である。いつものように風呂場から開始した。昨年はカビキラーを無駄に吹きまくったせいで風呂場にガスが充満し、危うく死ぬところであった。そこで今回は時間をかけて丁寧に洗い、必要に応じてカビキラーを使うことにした。
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風呂場がピカピカになったところでぼくは雑巾を手にとった。ぼくは雑巾を手にすると人が変わってしまう。というより、意識的に変わるのである。つまり、手の中の雑巾がいったい何を考えているのか探るわけだ。雑巾の真ん中付近を見つめながら意識を集中していく。すると次第にトランス状態になって意識が遠のいていく。やがてぼくは雑巾のしもべと化し、雑巾の思うままに動き始めるのである。
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ふと気づくと、いつの間にかぼくは汚れてボロボロになった雑巾を洗っていた。どうやら雑巾がけは終了したらしい。時計を見ると、雑巾を手にして2時間ほど経過している。見回すと、あらゆるところに雑巾がかかっており、見よ、ピカピカに輝いているではないか。見事に雑巾がけが終わっている。ただ、普段使わない筋肉を使うために、あとであちこちが痛くなるのが難点といえば難点だ。
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雑巾がけのあと、リビングのレースカーテンを洗濯した。乾かすのは簡単だ。洗濯の終わったレースカーテンを元のように吊るせばよい。清い人のことばがそうであるように、白さを取り戻したレースカーテンほど心の休まるものはない。かもしれない。