村上さんと福岡ハカセには共通点があるんだよね。とか急にもったいぶったことを書きたくなる年頃なわけですよ、秋だし。で、それはなにか、つーと、二人とも自分というツールを総動員して普遍性を追求しているのである。とか怪しく断言してみるわけですが、では、その普遍性とはなにか、というと、それは命なんですね。福岡ハカセはまさにそのまんま、生命を探求している。村上さんは例のスピーチ「壁と卵」で、私は常に卵側に立つ、と言っている一方、某雑誌のインタビューで「壁抜け」のワザを披露している。その壁とはなにか。彼自身、システムと言い換えているけど、いまひとつイメージしにくい。ぼくにはあるイメージがボンヤリと浮かんでいるのですが、そのイメージにピッタンコな漫画を、たまたまそのインタビューを載せた雑誌に見つけました。いい漫画だな~。こういう漫画、あるんですね。村上さんが一人称で書いてたころ、物語の主人公に名前がないことがあったんだけど、それは、名前を付けたとたん、それがシステムに組み込まれてしまうからでしょうね。自由への飽くなき希求がそこにも表れているように見えます。で、この漫画の場合、描かれてるのはイヌ、というシステムです。環世界的に人が勝手にそう決めたんですね。便利だから。この漫画をもっと見たい方は「考える人」夏号を買ってください。