消えてしまうもの

どうしても寿司を食べたい、と言い出した人をとなりに乗せて車は山を越え、南に走った。漁港のそばの某料理屋に車を停めたのが11時半。寿司を食べたいという人には寿司を、ぼくはタカエビのなんとかを注文した。この、タカエビのなんとかは久々の正解だった。地元で獲れたタカエビの刺身、素揚げ、塩焼きが皿にたっぷり盛ってあり、味噌汁にもエビが入っていて、そんなに高くない。特に素揚げはかなりウマかった。タカエビは漁港近くのマーケットで売っているので、次回はクーラーボックス持参でこれを買って帰り、素揚げにして食べることにした。満腹になると、寿司の人が丸木浜に行きたいというので車は坊津へと向かった。

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いつもなら海辺のレストランに寄って海を眺めながらコーヒーを飲むのだが、今日はコーヒーをポットに詰めてきたので寄らないことにした。が、レストランの前を通り過ぎようとすると、今まで無かった建物が建造中だった。何ができるのだろう。見た感じでは、野菜の無人販売小屋のようだ。次回来る時が楽しみだ。

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丸木浜におりて波打ち際を歩き、木陰でコーヒーを飲んだ。波の音がとても美しい。ぼくは美しいものが好きなのだ。丸木浜を後にし、いつもの景色の良い展望所に車を停めた。あれ、場所を間違ったのかな。一瞬、ぼくはそう思った。あるはずの展望台が無くなっているのだ。跡形も無い。(丸木崎展望台)

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いったい、どこに行ってしまったのだろう。海に落ちたのだろうか。
(写真は2年ほど前に撮った展望台 )

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この展望所から見える風力発電の風車。

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車は枕崎を抜けて川辺に向かった。
入道雲が山のあちこちからもくもくと湧き上がっている。

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車は国道から左に折れ、川辺ダムに向かった。数日前の某新聞にこんなことが書いてあったからだ。
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川辺ダムでも貯水量が激減。鹿児島市平川町の火之河原集落など、周辺住民がダム建設以前に使用し、現在はダム湖内にある旧道の瀬戸山橋が、近くの馬立大橋などから見える状態になっている。
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記事の写真には、水面下にあるはずの橋が沈む前の姿で写っていた。おそらく、雨が降り始めたら、また見えなくなるに違いない。そう思い、見に行くことにしたのだった。もちろん、後日、水面下に沈んだ様子も見に行こうと思う。新聞の力とはたいしたもので、ヘンピな場所なのに、すでに何人かが橋の上に陣取って見物していた。ふん、ひまなやつ、と思ったが、すぐに自分もそうであることに気がついた。

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旧道のガードレールも姿を現した。