オジサンは暗い夜道をトボトボ歩いていた。
生きていくのって、どうして、こんなにめんどうなんだろう。
思いつめた表情でオジサンは夜空を見上げた。
オジサンは、少し驚いた。
そこには恐ろしい数の星が瞬いていた。
星は、音もなくそんな彼を見下ろしている。
オジサンは、圧倒され、その場に立ちすくんだ。そして思った。
オレって、なんてちっぽけなんだ。
すると、どこからか、今までにない力が湧いてくるのを感じた。
それは思いがけない、不思議なことだった。
ぼくも時々夜空を見上げるんですが、不思議なくらい、勇気づけられます。
それは、自分が、限りなく0に近い存在であることに気づくからかもしれない。
ぼくは最近、つくづく思います。
人は、ほとんど、なにも知りえないまま、人としての人生を終わるのだな、って。
でも、感じることならできるし、うまくいけば、すべてになりうる。
世界は思ったより複雑だ。分けられないものは分からない。
分からないものを感じる。それはたとえば星空を見上げるようなこと。するとタマシイの本性が目を覚ます。果たして科学は、人から畏怖の念を失わせたのか。ぼくの場合はそうではないけれど。
「迷惑な進化」という本を読んでて思ったのは、分からないもの(つまり、分けられないもの)を感じる感性の必要とその重要性。人が知りうることって、限りなく0に近いんだな、ってこと。ブツブツ…