ハリガネムシの午後

数日前、通勤中にラジオを聞いてたら、某国営放送の子ども電話相談室という番組の中で、小学生がこんな質問をした。
「プールでハリガネムシを見つけました。ハリガネムシは、どうやって飼えばいいのですか?」
負けた、と、ぼくは思った。ハリガネムシとは、ご存知のようにカマキリなどに寄生する細長いミミズのような生物である。寄生したハリガネムシは、成長すると宿主を水辺に誘導し、宿主が水におぼれると、その体内から這いずり出てきて棲みかを水中に移す。そこで相手を探し出し、生殖する。ぼくも小学生の頃、カマキリの尻から出てきた糸のようなものがクネクネ動き回るのを見て甚く感動した口である。が、この奇妙な生物を飼おうなどとは決して思わなかった。なにせこいつは虫の尻から出てきたのだ。子どもには子どもなりの美意識がある。おろしたてのシーツのような微熱少年の感性はスカトロジーを解し得るほど成熟していなかったし、少年の中で頭をもたげた目くるめく好奇心は、幼い平坦な美学の下にあえなく屈服したのだった。
という、メシがまずくなるような話を今頃なぜ思い出したかというと、11月に某珈琲豆屋の皇徳寺店で行う「カラフルパワーハウス」という作品展のポスターの記事をさっき読んだせいなのだった。その記事を書いたのは、桑原明日香さんって方。以下、その記事から抜粋。全文を読みたい方は、ポスターの写真をクリックしてみてください。
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 … 帰り道の途中、友達と別れて一人、坂道を歩くのが憂鬱でした。例えば、ジグザグに歩いたり、後ろ向きだったり、ダッシュしてみたり、誰もいないとき寝そべってゴロゴロ転がってみたり。蛇が怖くて道の真ん中を歩いていたり、がむしゃらに草をちぎりながら歩いて手を切ったり、ドブにいたカマキリに石をぶつけてどうなるのか研究してみたり …
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筆者が石をぶつけて研究しようとした哀れなカマキリ。この可哀想なカマキリは、どうしてドブにいたのでしょう。そう、それはハリガネムシの仕業だったかもしれないのです。
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↓は、このポスターの裏面(もしかするとこちらが表なのかも)
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