自己嫌悪

ごみだめの横で子猫がないていた。
とおりかかった女学生が足を止め、かがみこんで、頭をなでる。
子猫はかわいいから、拾われていく。
しあわせな猫。
数日前の寒い夜、店の近くで見た猫はひどく見苦しかった。頭の毛は抜け落ち、片目はつぶれ、悪魔のような低い声でないていた。
こういう猫は、なかなか頭をなでてもらえない。
かわいそうな猫。
目が悪く、耳の悪い人が頭をなで、連れ帰る。
見える人には隠されてしまうものがある。
持っていると見えなくなる大切なものがある。
失うことで得られるものがある。

“自己嫌悪” への2件の返信

  1. 持っていると見えなくなる大切なものがある。
    確かに
    ちゃんと、見ないといけないですねぇ・・・
    心とか、存在とか

  2. >ちゃんと、見ないといけないですねぇ・・・
    ぼくもそう思います。外見に惑わされ、本質を見るのは難しい。
    ぼくは米沢藩主、上杉鷹山の妻のことを時々思い出します。
    上杉鷹山の正室、幸姫は生来カリエスを病んでいたのですが、彼は「天女」と呼んで愛したんですよ。
    彼は心の目で見ることができたのです。
    このことをうまく書いたページを見つけましたので、おヒマがあったら読んでみてください。
    なかなかできることじゃないと思います。
    http://blog.livedoor.jp/kyohisa1/archives/603049.html

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