晩ごはんはテンプラだった。
タネは、先日蓬莱館で買ってきたヒゲナガエビ、コウイカ、自家製ピーマン、キビナゴ、そして頂き物のミョウガであった。
ミョウガは大の好物なので、ぜひとも自分で栽培したいと思っている。
ぼくは知らなかったのだけど、時々お店にいらっしゃる「田園ぶらぶら写真館」のロギさんによると、ミョウガはショウガ科の植物で、食するのは花の部分なんだそうだ。そして、地下茎でどんどん増えるのだという。
どんどん増えるなら庭に植えたい。欲しい。ぜひとも欲しい。ロギさん、ズダ袋に入れて持ってきてよ。
ぼくだけが知っている
以前、「スパイダーマン」という映画がヒットしたが、クモが嫌いな方は複雑な思いであの映画を観たのではないだろうか。いや、観なかったかもしれない。
数日前の深夜、ぼくは寝る前に2階のトイレに入った。TOTO製の便器はいつものように清澄な水を湛え、深い森の湖のように静まり返っていた。が、その湖面には見なれぬ妙な物体が浮いていた。それはクモの抜け殻だった。かなり大きい。抜け殻があるということは…ぼくは天井を見上げた。抜け殻の主は引力を無視してスリ硝子の照明に逆さまに張り付いていた。脱皮したばかりの体は透き通り、神秘的な美しさが彼女を包んでいた。ぼくはしばらく見とれていたが、用を足すと、そのままトイレを出た。ぼく以外の家人はクモが大の苦手だ。もしかすると一騒動起きるかもしれない。翌日の夜、トイレに入って見上げると、彼女はまだそこにいた。体がまだ固まらないのだろうか。ぼくはそのままにしておいた。それにしても家人は誰も気づかない。翌日、彼女は壁に降りてきていた。ちょうど目の高さだ。このままでは騒動が起こる。失神者が出る可能性もある。ぼくは窓を開け、彼女を外に出した。
台風一週間目
今日は定休日。空は青空、いい天気。
ドライブに出かけようと思ったけど、先週の台風でベランダに落ち葉が積もっている。ぼくはホウキとチリトリを持って掃除を始めた。
すると、すぐにネコが寄ってきて邪魔をはじめた。
このまえ、ぼくから下駄で足を踏まれ、ギャッと叫んでどこかにすっ飛んでいったのに、もう忘れてる。記憶力ゼロ。でも、考えてみれば、そのほうが幸せかもしれない。掃除が終わって腹が減ったので、東市来の蓬莱館に行くことにした。最近、魚料理は笠沙に出かけて食べてたので、ここは久しぶり。あいかわらず高年齢の客が多く、順番待ちだった。お味のほうは少々?マークが付いた。多かったせいかな。魚売り場で、捕れたてのヒゲナガエビとコウイカのゲソを買った。今夜の晩飯はエビのペペロンチーノに決めた。
うまそうに見えないけど、写真はぼくが作ったエビのペペロンチーノ。
これはうまい。一皿1,200円也、で飛ぶように売れる!と、確信できるデリシャスな味だった。
ショートケーキ
昨夜、店の帰りに近くのケーキ屋さんでショートケーキを七個買った。
ぼくはショーウインドウに並べられた色とりどりのケーキを、左から右に各一個ずつ買う。
例え、その中に特にうまそうなのがあっても、やはり一個ずつだ。
今日、妹からケーキをもらった。
ショートケーキ。
箱を開けてみると、全部同じケーキだった。ちなみにオシャレなバナナケーキ。
兄妹だから分かるのだが、多分、彼女はこう思うのだろう。
全部同じじゃないと、取り合いになってケンカが起こる、と。
自分がそうだからといって、人もそうだとは限らないんだけどね。
チョコレート
スポットライト
今日もI氏はやってきた。ただ、いつもと違うのは、その様子が甚だ疲れていることだった。
彼がカウンターに座ると、どこかでスポットライトが点り、その疲れた顔を浮かび上がらせた…ように見えた。
そう、彼は物語の主人公としての素質がある。いや、彼は言うだろう。人生とは自分が主人公の物語である、と。
小道具…熱い珈琲が彼の前に置かれた。
しばらく彼は闇を湛えた白いカップの中を覗きこんでいた。
遊んで暮らす
「Nさんは、もう仕事やめても大丈夫だね」と、いいながら、娘が食堂に入ってきた。
娘は店に置いてあった衆議院総選挙のポスターを見てそう言ったのだった。
広告の仕事をやっているN君が毎月届けてくれる手製カレンダーに、そのポスターは同封してあった。
ポスターの中央に「コンペに勝ちました、○,○○○万円也!」と走り書きしてある。つまり、彼の作った選挙広告が採用され、○,○○○万円の売り上げがあった、ということなのだった。
娘はその売り上げのほとんどが彼の財布に入ると思ったのだろう。やれやれ、うらやましいくらいシンプルな思考回路。それに、仮に○,○○○万円の金が手に入ったとして、果たして残りの人生を遊んで暮らせるものかどうか。
ちなみに、この広告に出てくる人相の悪い人たち(笑)は枕崎のARTSというスカバンドだそうです。
風とともに去りぬ
セミの声がやんだ。
店の駐車場には数本のケヤキが植えてある。
そこがセミのたまり場になってて、つい数日前まで毎朝狂ったように鳴いていたのだが。
今朝気づいた。
静かである。
しんとしている。
思えば少しうるさかったが、案外いいやつだったように思う。
暴風雨
台風14号は薩摩半島の西海上をのんびり北上中である。
2階の窓から見る限り、さほど風雨は強くないようだ。
しかし、ニュースによればデパートや大型ショッピングセンターは軒並み休業とのこと。
というわけで、うちの店も休むことにした。わ~い、うれしいなーっと。
と、いっても、うちの中ではすることがあまり無い。
仕方ないので暇つぶしにこのブログをバージョンアップしてみた。
(中略)
いつの間にか午後になっていた。何もしなくても腹は減る。
しかし食料がない。近くのスーパーも休業なのだった。
ぼくは戸棚や冷蔵庫にあるもので何か作ることにした。
見つかったのはスパゲティーの麺、ホールトマト、ピーマン、シイタケ、ニンニク、たまねぎ、ベーコン… オーケー、これだけあればうまいスパゲティーが作れる。
と、ぼくは冷蔵庫の野菜室にねじけた巨大キュウリを発見。が、よく見るとそれは痩せたヘチマなのだった。そうだ、ズッキーニの代わりにこれを入れよう。
ソースを煮込む際、某女流芸術家からいただいたローリエも数枚入れた。
完成。暖めた皿に湯気の立ち上る麺を盛り付け、ソースをぶっかける。
BGMはJanet SeidelのThe Moon Of Manakoora。
おー!これは絶品であった。
ヘチマのスパゲティー一皿800円也。で十分に売れると確信したのであった。
お、またどうでもいいことを書いてしまった。
定休日
今日は休み。どこかに行きたい。
しかし、台風のせいで天気が悪い。
お昼ごろ、買い物に出かけていたヨッパライ某からメールが来た。
「スーパーに来ているけど、いるものある?」
ぼくは条件反射的にあるものが浮かんだ。台風といえばコレなのである。
「チキンラーメン」と、思わず書いて送った。
そんなわけで、ぼくの昼ごはんはチキンラーメンにタマゴをのせたワビシイものになってしまった。
夕方、ビデオを借りに出かけたヨッパライ某にメールを送った。
「以下のCDを借りてきてください。マントヴァーニ・オーケストラ「今宵の君は」という曲が入っているアルバム。無ければベストアルバム。パーシーフェイス・オーケストラ「夏の日の恋」という曲が入っているアルバム。無ければベストアルバム。フランク・プゥルセル「ミスター・ロンリー」という曲が入っているアルバム。無ければベストアルバム」
返事は来なかった。
帰ってきてヨッパライ某は言った。「なかったよ」
ヨッパライ某はいつもツタヤの店員にぼくが送ったメールを見せ「これ」といって借りてくる。
今日は間違って、ひとつ前のメールを見せてしまったそうだ。
「チキンラーメン」