夕食を終えて時計を見ると9時40分になろうとしていた。
今から映画を観るとなると準備を含め、終了するのは0時をまわったころだ。
というわけで、家族で映画を観るのはやめにした。
映画以外にも録画したものはたくさんある。ぼくは一人でプロジェクターの前に座った。録画した中から某国営放送の「マレーシアの巨大昆虫」というのチョイス。長崎に住んでるナントカと言う虫好きのオッサンが現地のガイドとともに森林奥深く分け入っていく。
出た。まずは巨大ナナフシの登場。でかい!30cm物差しくらいの大きさだ。オッサンはその化け物のような虫を顔に這わせて喜色満面である。体中に鋭いトゲのあるナナフシもいる。見るからにアブナイいでたちだ。さすがのオッサンも触らないだろうと思ったら、むんずとつかんだ。いててて!オッサンは飛び上がった。アリも出た。やはり巨大である。おっさんは臆することなくつまみ上げる。が、当然のように噛まれ、いててて、と叫ぶ。カメラがズームアップすると指から血が出ている。
オッサンはさらに森林の奥へと進んでいく。
先生の逆襲
今日は休みだったが、3時半から高2の息子の三者面談があるとのことで、休み気分に浸るわけにはいかなかった。
いつもなら海に向かってひたすら走っている時間、ぼくは天文館の本屋とレコード屋をぶらついていた。
本屋ではしばらく立ち読みし、雑誌を買った。レコード屋ではボサノバのCDを買うつもりが、そばにあったスチールドラムのCDに目が移り、そのまた横のslack key guitarというCDに目が行ってそれを買った。
どこか見晴らしのいいところでアイスクリームを食べたくなったので城山の展望台に上がり、100円のモナカを買って食べた。3時半が近づいた。三者面談は校内の図書館で行われた。順番を待つ間、書架にあった村上春樹のアフターダークを読んだ。順番が来た。先生と話すのは苦手なので黙っていたのだが、ぼくがつまらないことを言ったせいで先生は猛然としゃべりだした。前の親子が20分くらいで終わったのに、なかなか終わらない。「実はクラスにもう一人変わったおとうさんがいて…」と、先生が話しかけたところで図書館の先生が「もう閉めますから」と注意した。5時半になろうとしていた。
雨のコーヒー
今日も朝から雷雨
古いものは疎ましいといいながら、今日は1969年に流行った歌謡曲のCDをかけた。
これが実に雨の情景に似合うのであった。
不思議だ。
いや、不思議ではなかった。理由があった。
聞いてみると当時ヒットした歌謡曲には「雨」というワードが使われている曲が多いのだった。
雨は嫌いじゃないが、続くと飽きる。
ヘヴィー・ウェザー
昨日の最高気温は35.8度だったそうだ。
特に意味はないが、これはぼくの平熱と同じである。
あいかわらずアイスクリーム日和が続いているのだった。
が、今日は朝から激しい雷雨となった。
土砂降りだ。
そのせいだ、と信じたいのだが、午前中は土曜だというのにお客様は一人もいらっしゃらなかった。
やぁね。
視線の研究
スピーカーのセッティングがやっと終わった。
コリン・ファレルとアル・パチーノの「リクルート」を観た。
コリン・ファレルの表情がおもしろい。
どこか小賢しく見えるのは、宙をさまようように動く視線のせいだろうか。
自分の視線なんて普通、意識することもないし、観察する機会もない。
ちょっと気になった。
陽はまた昇る
昼ごろ、仕入先のI氏が来た。
カウンターに腰かけると開口一番、タカナカのいいCDを買った、とにやけた。
じゃあ貸して、と言うと、
買ったばかりで今聞いているから今度また、と言う。
ぼくの表情がにわかに曇ったのに気づいたのか、
別のを貸しましょう、アクアプラネット。知ってます?これはなかなか最高ですよ。
と言って車に引き返した。
カウンターには若い女性が座っていたが、彼女はタカナカなんて知らない。
ぼくとI氏はタカナカを聞きながらコーヒーを飲んだ。隣の女性もいっしょに飲んだ。
古い音楽に包まれるのは気持ちがいい。着慣れたジャケットのような安心感がある。
でも、それは沈もうとしている夕日の写真をぼーっと見ているのに似ている。
それは沈むだけで再び昇ることのない太陽。
若い女性が帰ったあと、ぼくとI氏は暗い顔で言葉を交わした。
何とかしなくちゃね。
最近、古いものが疎ましく感じられる。
探しものはなんですか
さいきんおかしい。
暑いせいかもしれないし、睡眠不足のせいかもしれない。
ぼくの欲しいものは何なのか。何をしたいのか。
そんなことばかり考えている。
コーヒーの飲みすぎかもしれない。
多分、疲れているんだと思う。
午後7時
閉店間際にいらしたお客様と話していて、ぼくはある女性を思い出し、その話をした。
その時ぼくは20代前半。世田谷にある大手園芸会社でアルバイトをしていた。
その会社に、恐ろしくモテる不思議な女性がいた。
若い男性社員たちは競うようにデートを申し込んでいた。
その女性はおせじにも容姿端麗とはいえなかった。
背は低く、地味で化粧っ気もない。服のセンスは凡庸、顔はそばかすだらけ。
しかし、笑顔がすばらしかった。まるで太陽に祝福されて咲いた花のよう。
ツマラナイ話も丁寧に理解しようとし、やさしく包むような相槌を打つ。
そこにきて時宜にかなったジョークが虚を突いて飛び出す。
まいったね。マヌケな男たちには、もはや抗う術はなかった。
原色の街
きょうは定休日。
台風が近づいているらしいが、天気は悪くない。
いつもならドライブに出かけるところだが、本日中にやっておかねばならないことがあった。
それはホームシアター用のスピーカーの取り付け。
注文したブツのうち、スピーカーがまだ届かないのだった。
10時を待って某電気店に電話した。入荷してるとのことだったので、さっそく取りに出かけた。
その足で某日曜大工店に寄り、スピーカーを固定するための金具を購入。
金具を取り付け、壁に固定。作業は滞りなく終了した。
とりあえず、試聴をかねて映画を鑑賞することにした。
観たのは録画してあった「ディック・トレイシー」。原色を多用した独特の彩色がおもしろい。
映画に没頭してしまったせいで、肝心の音の具合がどうだったのか憶えてなかった。
ダースベイダー
アミュプラザでスターウォーズを見た。
エピソード3。邦題「悪に墜ちるオレ」
というわけで、この章はかなり暗い。
ぼくは暗い気持ちをひきずって映画館を出た。
ああ、ぼくはこの暗くなった気分をどうすればいいのだろう。
ぼくはダースベイダーの声でため息をついてみた。
まてよ…
そうだ、明日は休みだ。DVDでエピソード4を見ることにしよう。