車のエンジンの音が好きなので、一人でドライブするときは、ラジオやカーステレオをつけずに走ることがある。エンジンの音を聞いていると、どこまでも走りたくなる。今日、店からの帰り道がそうだった。ぎっくり腰の後遺症で、体のあちこちがまだ痛いのだけど、走っていると、そんなことが気にならなくなる。というわけで、今から夜のドライブに出かけます。
Good night.
夜の散歩
Starry Night
Silent Night
クリスマスと冬至
海辺の別荘
日はまた昇る
ぼくは毎朝ラジオを聞きながら通勤している。先日、いつものように某国営放送のラジオビタミンという番組を聞いてたら、「陰暦で暮らそう」というコーナーで、ゲストの某作家がおもしろいことを言った。柚子湯に使うユズの実は、太陽を表しているんじゃないか、というのだ。冗談っぽく話していたのだけど、「柚子湯=湯治湯」説なんかよりずっと説得力があるように思えた。北欧の冬至祭は太陽の復活を祝う祭りだ。高緯度の土地では冬に向けて次第に昼が短くなり、ついには太陽が昇らなくなる。このまま二度と太陽が昇らなかったら…。太陽系という概念を持たなかった昔の人たちは、きっと本気で心配したことだろう。と、いうわけで、ぼくは「新説・柚子湯」に従い、太陽に見立てた、ま~るいユズの実を湯舟にポッカリ浮かべ、エンヤの「And Winter Came」でもかけながら、のんびり湯に浸かろうと思うのであった。プカプカたくさん浮かべたいゴージャス系の方には、ニーノ・ロータの「太陽がいっぱい」あたりがよろしいかと。
本を読むのに何よりもたいせつなこと
ぼくの中の焚火
ぼくが北極に行く理由
カサブランカ、きれいだね。
ぼくはワイングラスを置いた。
そうかしら。
彼女は言った。
わたしはあなたが好きな花を知ってるわ。
流れていた音楽が唐突に終わり、テーブルは静寂に包まれた。
ぼくは彼女の目を見つめたまま、閉じた唇がふたたび開くのを待った。
ぼくの 好きな 花
その言葉をぼくは子どもの頃からずっと待っていたような気がする。まるでそれが魔法を解く呪文であるかのように。なぜなら、ぼくには好きな花がない。
音楽が流れだした。ずいぶん古い曲だ。キャメルのブレスレス。
でもね、その花は簡単には見つからないの。
彼女は少し悲しそうに言った。
だって北極の氷の上に咲いているんだもの。
信じる?
もちろん。
残ったワインを飲み干してぼくは席を立ち、彼女も席を立った。