雨の街で

久しぶりに友人たちと飲む。数えると6人いた。どうでもいいことを話しながら、ふと、あることに気づいてがっかりした。ここにはサラリーマンが一人もいない。今夜ぼくは気が置けない間柄の平凡なサラリーマンと酒を飲みたい、と感じていた。サザエさんに出てくるマスオさんみたいな。それはたぶん、今夜が雨の土曜日で、以前ぼくがサラリーマンだったからだと思う。

羅針盤

いつものことだけど、また今日もいい加減な考えが頭に浮かんだ。
人間には二通りある。自分が何を求めているか知っている人と、それが分からない人だ。
そういえば何年か前、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」という映画の中に「人生は複雑とは限らない、求めるものを知っていれば」という言葉が出てきて、はっとさせられたな。

夜間飛行

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これは今夜9時に撮ったオリオン座。今のカメラを使えば簡単に撮れる。実にあっけない。ちょっと前まで、天体写真は一部のマニアのものだった。あの頃、星の降る夜空は深く神秘的だった。手の届かないものだった。もちろん、今でも手は届かない。しかし、そのへんのチャラ男でも簡単に写真に撮れるようになって、その神秘性はグッと低下した。ような気がする。という話をするつもりじゃなかったのだった。今夜も星空がきれいだ。今も星空を眺めていたところだった。吸い込まれそうな星空を眺めていると、そこを必ずジェット機が横切っていく。ぼくはこれが大嫌いだった。石を投げ付けたくなるくらいに。でも今は違う。星空を横切る小さな光が切なく愛おしい。自分でも、この心境の変わりようには驚いている。サンテグジュペリの「人間の土地」を読んで以来、星空を横切る赤い点滅が、彼の操縦する飛行機とオーバーラップするようになった。

メモリー呼び出しスピード

朝、いつものようにネット経由で送られてきたスピーチファイルを車内で再生しながら店に向かっていた。スピーチの後で合唱が始まった。フィンランディア賛歌。そこで問題が発生した。フィンランディアの作曲者はダレだったっけ? 合唱が終わり、再びスピーチが始まったものの、頭の中はそのことでいっぱい。フィンランディアは好きな曲なので作曲者を忘れるはずがない。なのに思い出せない。ぼくはムキになって思い出そうとした。店に到着して仕事の準備を始めたが、頭の中はまだ探し続けている。ネットで調べればすぐなのだが、それは断固拒否。出た!ついに思い出した。時計を見ると9時30分。探し始めてちょうど1時間。うれしかった。けど、悲しかった。

今朝届いたプログラム

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しつこいようだけど、映画MATRIXは示唆的だった、な。
ぼくだけが勝手に感じ入っているだけかもしれないけどね。
さてと…
今朝届いたプログラムはずいぶん役に立ちそうだ。
これをロードし終えたら、旅に出るか。
「ここは見せ物の世界
何から何までつくりもの
でも私を信じてくれたなら
すべてが本物になる」

Lonesome CarBoy

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彼女がカウンターに座るようになって、たぶん10年は経つ。いつもコーヒーを飲みながら写真の話などでもりあがっていたのだが
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「このあいだ車を買ったの」と彼女は言った。何を?と聞くと、いつもの笑顔で「ミニ」と言った。意外だった。彼女のしとやかな雰囲気に似合わない気がした。そこに常連の某シティーボーイがやってきて、いい車に乗ってますね、と、彼女のとなりに座った。ちなみに彼の愛車はシトロエン。初対面の二人はそのまま意気投合し、車の話に花を咲かせた。ぼくは彼女の車の知識の豊富さに愕然とした。そういう人だったのか。人は見かけによらないものだ。ぼくは急にひとりぼっちになった気がした