クワガタを飼い始めて今日で一週間。エサにしていたスイカが昨夜でなくなってしまったので、夕食後、近くの山に逃がすことにした。生物を飼っていると気づくのだが、奴らの行動は月の満ち欠けにかなり影響を受ける。連中が脱走を試みるのも、満月や新月の前が多い。見えない糸にひかれるように、謎の電波に操られるように、連中は移動を開始する。今夜は満月。彼を放つのに誂え向きの夜だ
脱走
朝起きて、ヤツに会いにダイニングルームに行く。食堂テーブルの隅にタッパーが置いてあり、中には数日前つかまえたクワガタがいる。はずだったが、ヤツはフタを持ち上げて脱走していた。子供のころ、いろんな生き物を部屋で飼っていたが、たまに脱走する者がいた。気持ちは痛いほどわかる。彼らは自由が欲しかったのだ。同じく自由を愛するぼくにはクワガタの気持ちがわかるので、彼がどこに逃走したかすぐに見当がついた。ぼくは脇目も振らず北側の窓に歩いて行き、ブラインドを上げ、サッシ左奥の隙間に目をやった。わずかな隙間からクワガタの角の先が見えていた。ところで、先日、真夜中にすぐ近くで雷が鳴り、あわてて飛び起き、エアコンやパソコンのプラグを抜いた。むかし、雷のせいでエアコンの基板がこわれ、けっこうな出費となったことがぼくの数多いトラウマの一つとなっているのだ。そこで某熱帯雨林に雷ガード、というブツを注文したのだが、それが今日届いた。効果があるかは不明だが、もう夜中に飛び起きてプラグを抜くことはなくなる… といいのだが
夏なのに
幻想的な夜
風呂から上がって屋上で涼んでいると、前方からアオバズクの声が聞こえてきた。いつもとちがい、深い森にいるようなエコーを伴って聞こえる。谷間で鳴いているのだろうか。とにかく、速い流れの雲と、それを不気味に照らし出す半月と相まって不気味、いや、幻想的だ。台風が去った後の夜。プリミティブな夜
夏が来た
夏のスイッチ
今年はなかなか夏のスイッチが入らず、先月初めにいただいたスイカも一ヶ月間、箱に入ったままだった。でも、今日、やっとスイッチが入り、スイカを食べたくなった。夕方いらしたお客さんに、今夜、一ヶ月放っておいたスイカを食べるんだ、というと、「爆発するよ!」と言われた。スイカは放っておくと中にガスがたまり、包丁を入れた瞬間、爆発する、という話は聞いていたので、本気で不安になった。夕食後、スイカの頭に恐る恐る包丁を突き刺したが、プシュッ、ともいわず、ふつうに切ることができた。少し熟れすぎていたけど、甘くておいしかった。
夕食後、調子のおかしくなった自宅のパソコンを修理し、今、そのパソコンでこれを書いている。今のところ、まだブルースクリーンは発生していない
ブルー
なんとなくチャンピオン
人工知能の世界では魔術が働き始めたらしい
半月ほど前、ネットに面白い記事が上がっていた。某国営放送HP「視点・論点」に掲載された「人工知能と黒魔術」という記事。おととい、人工知能を勉強している学生さんが店にいらしたとき、この記事のことを話したところ、仲間の間でもかなり話題になっている、とのことだった。5分で読める短い記事なので、直接読んだ方がいいと思うのだけど、とりあえず以下に端折って書き写します。
現在、人工知能の開発は飛躍的に進んでいるのですが、実は同時に科学者やエンジニア達は今、少し困った状況になっています。それは、人工知能の性能を上げるほど、なぜ性能が上がったのかを説明できなくなっているのです。
—- 中略 —-
驚かれるかもしれませんが、この「黒魔術」は人工知能の世界でもスラングとして定着しており、どうやって生まれたのか、あるいはなぜ効果が出るのかわからない技術の総称となっているのです。当然ながら、人工知能を研究する学問分野である情報科学は、もともと論理や数学が支配する世界でした。理論や理屈がすべてを説明できる世界だったということですね。しかし、現代の情報科学、とりわけ人工知能の分野では、だんだんと黒魔術の影響力が強くなってきています。
—- 中略 —-
私たちが普段の教育で触れる科学は、基本的に還元主義という考え方でできています。還元主義は「物事を分解し、細部の構造を理解していけば、全体を理解できる」という考え方です。科学者でなくても、この考え方に賛同する方は多いと思います。たとえばあなたが時計というものを完全に理解しなければならないとしたら、まずすべての部品を分解して、歯車やゼンマイのしくみを知り、それぞれの動作を把握するはずです。そして今度はそれらの部品を再度組み立てます。そうした作業をへて、時計という機構は理解できるようになるのです。熟練の時計職人であれば、時計がどのようなしくみで動き、どうすれば性能を上げることができるのかを明確に説明することもできるでしょう。しかし知能を理解するには、この還元主義的な考えではうまくいきません。
—- 中略 —-
要素を切り分けて個別に理解していくという、還元主義という伝統的な科学の思想とは相容れない——。結局、知能というのは隠された方程式があって、それを解き明かすのではなく、どこまで行ってもモヤモヤしたよくわからないものであることを受け入れるしかない ?? それが今の人工知能の研究者たち・エンジニア達の実感なのです。
—- ここまで —-
なんだか不安になりました(笑) まるでSFですね。アシモフの未来小説の序章を読んでるみたいな