ぼくの周囲には、いわゆる天然な人が多いように思う。
ぼくがそれを好むから自然とそうなるのかもしれない。
自分にないものを求めているのだろうか。
人をひきつける力。
カラマーゾフの兄弟に出てくるアリョーシャ、リザヴェータ。
そして頭のいい、ロジカルなイワン。
ドストエフスキーが言いたかったことは何だろうね。
星空
憂える78
窓の外も暗くなって、間もなく閉店という時間に父がやってきた。なんだろう、と思ったら、コーヒーを一杯飲ましてくれ、という。なんでも固いものが食えなくて、コーヒーや牛乳、そして豆腐みたいな軟らかいものばかり食べているのだという。いわれてみれば父も78、固いものを食べるのに難儀する年齢なのだ。
熱いコーヒーを一口すすると父は「実はこのまえな」と、切り出した。
「天文館のカラオケバーに行ったとき、酒を飲みすぎて気分が悪くなってな」
父は最近、年寄りばかり集まる妙なカラオケバーに入り浸っているのだった。
「それで吐きたくなって、トイレで吐いたら、入れ歯も流れちまった」
くだらねえ。
ぼくは情けなくなった。固いものが食えない理由は入れ歯だったのだ。しかし本人はまじめ腐った顔でこう続けた。
「カラオケに行っても気の合うやつなんかいない、友達はみんな死んじまって、遊ぶ相手もいなくなった。元気なのはイナモリだけだ」
稲盛さんは父が高校の時の同級生。父の友人にはユニークな人が多かったが、ここ数年のうちにほとんど亡くなってしまった。ぼくも、稲盛さんの元気な声を聞くとほっとする。父が元気がない時など、稲盛さんが活躍している話をすると、まるで自分のことのように喜んで元気になる。稲盛さんには、ずっと元気でいて欲しいと思う。
部分日食
雪落とし
夜のスノーマン
自宅待機中
TVで報道されにくいニュース?
今日のmixiニュースを見て思った。
この記事は果たしてテレビで報道され得るだろうか。
以下、今日のmixiニュースより引用。
毎日の長時間TV視聴で寿命縮まる可能性[シドニー 11日 ロイター]
毎日長時間テレビの前に座り続けると、寿命が短くなる可能性があるという研究結果を、オーストラリアの研究機関が明らかにした。この研究は、ビクトリア州のBaker IDI Heart and Diabetes Instituteが、1999年から2006年にかけて25歳以上の8800人を対象に調査を実施しまとめたもの。1日にテレビを4時間以上見る人は、2時間以下しか見ない人と比べて死亡リスクが46%高く、循環器疾患で死亡するリスクだけでみると80%高いことが分かったという。
雨の夜に蘇る記憶
だれかが言ってたっけ。しとしとと冷たい雨が降るこんな夜は、部屋を暗くしてブレードランナーを観るのがいい、って。映画ブレードランナーには、レプリカントと呼ばれる人造人間が登場する。彼らは造られた人間なので、過去の記憶がない。だのに彼らはあるはずのない、自分とかかわりのありそうな過去の写真を肌身離さず持ち歩く。写真が彼らの記憶であり、心のふるさとなのだ。
海沿いの食堂で昼食を済ますと、ぼくは少し南にある岬に向かった。
道路を挟む山の頂は垂れこめた暗い雲に呑みこまれて見えない。岬のそばの某複合施設の博物館で「蘇る南薩鉄道の記憶」という催し物をやっていることを、数日前、某ブログで知ったのだった。300円の入場料を払って入館した。
大きなガラスケースに展示された鉄道模型の中には、お気に入りのオレンジの列車があった。ぼくはこのオレンジの列車の写真を持っている。
列車の前に写っている男は、紛れもなくNだ。でも、ぼくにはこの写真を撮った記憶がない。
ガラス越しに模型を眺めていると、係りの若い男の人が、こんな蒸気機関車も走っていたんですよ、と教えてくれた。
ぼくはその蒸気機関車を知っていた。母のアルバムの写真の隅に、小さな蒸気機関車が写っていたからだ。その写真には、女性が並んで写っている。母が女学生だったころ撮った写真だ。ぼくは思う。もしこの古い写真の中にぼくが写っていたとしても、今夜のぼくはそれを疑わないだろうと…。こんな冷たい雨の降る夜だから。