朝晩、涼しくなって、温かいものが恋しくなる季節になりましたね。
Wind, Sand and Stars
もしも君が渇いているのなら いますぐ水を汲みにでかけよう。 水をさがしてぼくはどこまでも歩くだろう。 もし君が渇いていないというなら、 本当に渇いていないのなら 君はぼくを必要としない
あかずきんちゃんの道
砂上の植物群
土曜日の午後
昼過ぎ、常連の某美女がやってきた。土曜の午後だというのにヒマそうだったので、映画でも見に行ったら、と言うと、先日ぼくに薦められて見に行ったヒコーキアニメはつまらなかった、とブツブツ言った。そこで、今やっている、そして父になる、つーのがうちの女性客の間で評判だよ、福山なんとかという男がいいらしい。この福山なんとかはずいぶん女性に人気があるね、と言うと、某美女は突然遠い目になって、もし、目の前にいるのがあんたじゃなくて福山だったら、あたし、溶けてしまうわ、と目に星を浮かべた。うげ、溶けるって、ナメクジみたいにか? と言うと、ええ、溶けるわよ。と繰り返した。江戸川乱歩の猟奇世界を髣髴する情景が目の前に浮かんだ。ぼくはびびって思わず一歩退いた。
ワルツを踊ろう
お水の時間です
晴れの日が続いて、庭の草木もうなだれている。動物と違って、植物は水のあるところに歩いて行けない。かわいそうに思って、管理人としての責任を感じて、帰宅後、ぼくは彼らに水をやることにした。用意したのは約180リットルの水。昨夜使った湯船の水だ。わが家の風呂は二階にあるので、バケツでそれを汲み、階段を下りて庭にぶちまける。それをひたすら繰り返すわけだ。8リットルほどのバケツなので、約23回の往復が必要。23階建てのビルの階段を満杯のバケツを持って降り、空のバケツを持って23階まで上るのと同じである。かわいい庭の植物たちのことを思えば楽しい作業であることは言うまでもない。BGMはデュカスの魔法使いの弟子をチョイス。
城のまわりを歩く
カフカの「城」を読んでいて、これ、どこかで読んだ気がする、と思った、というより、ほとんどデジャビュに近い衝撃があった。それはずいぶん前に読んだ、村上春樹のなんたらワンダーランド(ちゃんとした名前は忘れた)だった。そして気づいた。そうか、あれからぼくの地図は変わってしまったんだ、と。あの日、ぼくの地図は二つに別れてしまった。そしてぼくは新しくできた方の地図を歩き始めた。古い地図上の世界に戻ることは、おそらくもう無い。