星と月と虫
ゴルゴ13夜
ブツダンはないけどローソクはあるのです
日の射す明るいベッドで図書館から借りた写真集を広げた。写真集はベッドで読むとしあわせな気分になれる
写真集には気の利いた言葉が書いてあった。「何も勉強しなかったおかげで多くを学んだ」 アナトールフランス。 賛成、あんた、なかなかいいこというね
写真集を見てたら、ぼくも写真を撮りたくなった。写真家はライカを使っていたので、ぼくもタンスの奥からライカを出そうと思ったけどなかったのでオリンパスをポケットに入れた
ワインを買いに近くのスーパーまで歩いた。太陽が西に傾き、影がおもしろかったのでそれにカメラを向けた
写真集はどれも白黒だったので、ぼくも白黒を意識して撮ろうと思っていたのだけど、いつの間にか忘れてしまった
パン屋のベンチにずっと座っているおにいさん
全国津々浦々の標準的日本人にとって今日は文化の日。ぼくにとっては無駄に大きなローソクに灯を点すだけの日。ローソクがホコリをかぶっていたのでシャワーで洗い、屋上に干した。ぼくは綺麗好きなのです
ちなみに今回図書館から借りた本はブレッソンのが4冊、そして京都大学霊長類研究所の松沢哲郎氏、チンパンジーが教えてくれた人間の心「想像するちから」の計5冊。チンパンジーについては、人間とは何なのか、という素朴で深~い疑問に、この本がヒントを与えてくれそうな予感がして…そしてその勘はけっこう当たっていたように思う。ぼくはユクスキュルの唱える「環世界」的なアプローチをこの本に期待していたのだから
今日は年に一度のローソクを点す日。ワインで乾杯。ぼくがスーパーで買ってきたのは例によって一本400円のスペインのやつ。違いの分からないぼくにはこれで十分。いや、これの赤に関しては、けっこううまい、と思うよ
バッタはマリーが好き
今日最後のお客さんは花が好きなお客さんだった。それでいつものように花の話になった。ぼくが、半月ほど前に植えたマリーゴールドにバッタが群がり、花や葉っぱを食い荒らして困っている、という話をすると「それはオンブバッタで、やつらはマリーゴールドが大好きなんだ」と言った。ぼくはびっくりして「たしかマリーゴールドは虫除けに植えるんじゃなかったかな」というと「マリーゴールドはトリクソバナと言って、鳥の○○の臭いがするんだ、バッタはその臭いが好きなのかもしれない」と言った。トリクソバナ。なんと下品な名前だろう。ぼくはマリーゴールドが嫌いになる予感がした。花が好きなお客さんは言った。「ニワトリを飼うといい。ニワトリはバッタをパクパク食べる。ただし、動いているバッタしか食べないけどね」おお、なんという博識。ぼくは感心して尋ねた。出身は田舎ですか