二週間後
A LONG VACATION 3日目
A LONG VACATION 1日目
休みだというのに朝から曇っていた。よくある話だ
昨日、洗濯中に洗濯機のホースが外れ、となりの部屋まで水浸しになるという湿っぽい事件が発生した。あふれた水は拭き取ったが、入り口の柱が水を吸って膨れ、ドアが閉まらなくなった。乾いたら戻ると思ったが、戻る気配がない。削るのもどうかと思い、車のジャッキを持ち出してきて膨れた部分を押し戻すことにした。めったにない話だ
スカッと晴れたらドライブに出かけるつもりだったが、しつこく曇っていたので、もうひとつの計画を実行することにした
網戸の張替え。難しい作業ではないが、おもしろい作業でもない。完成したときの喜びもわずかである。あまり頭を使わないせいかもしれない
次の作業を開始。わが家の車庫はドブ漬けメッキを施した鉄骨製で、屋根はドブ漬けした鋼製波板をモルタルで覆っている。ほんとは必要なかったのだけど、万全を期してモルタルの上に防水シートを貼り付けた。20年以上前の話だ
しかし、このシートが年を経て周辺から少しずつはがれ始め、そこに火山灰が進入、コケの温床になってしまった。はがしてみると、既にまったく接着しておらず、隙間に水が滞留。防水シートではなく保水シートになっていた
モルタル面をデッキブラシでこすっているうちに日が暮れてきた。こうして一日は終わった。よくある話だ
サンデートリッパー
遠い道
ずいぶん長いこと映画を見なかった。見たいと思う映画がなかった。いい映画はたくさんある。でも見たい映画はそれとは違う。ぼくは見たいと思わない映画は見ない。最近、特にその傾向が強くなった。ジジーになってきたことの表れかもしれない。映画は映画館で見るのがいいに決まっているのだけど、めんどうなので、DVDになってから自宅のプロジェクターで見る。この前、某F少年がそのブログに感想を述べていた「グレート・ビューティー」という映画を借り、久しぶりにプロジェクターに灯を入れた。おもしろかった。フェリーニの「甘い生活」みたいなものを想像していたけど、そうではなかった。完全版「ニューシネマパラダイス」(決して劇場版ではなく)のサルヴァトーレと同じく、成就しなかった恋がその主題となって浮かび上がる。人間とは何か、人生とは何か。おそらく小説家の描くテーマはそれだろう。もし小説家が65歳を過ぎたある日、思いがけないきっかけでその答えの片鱗を嗅ぎつけたとしたら
永劫回帰的祝日の夜
家に帰り着き、車を車庫にとめて気づいた。助手席に積んだはずのカバンがない。どうやら積み忘れたらしい。おそらく店の階段の手前に置いたままだ。現金が入っているので、そのままにはしておけない。ぼくは来た道を引き返した。なんという無駄だろう。同じことをただ繰り返すのは虚しい。ぼくは悔しかった。しかし、車を走らせていると、同じ道なのに、さっきとは違っていた。それは、ぼくが今を生きているからだった。過去を生きていないし、未来も生きていない。ぼくはいつのまにか今を生きていることに気づいていた
f/2.4
A7
一週間ほど前、飼っていた猫が先に旅立ってしまい、以来、自分でも不思議なくらい元気がなくなってしまった。失ってみないとその価値が分からないものにぼくは囲まれているのかもしれない。ぼくは風に流されるまま、エンジンの止まった飛行機のように低空飛行を続けていた。今日は土曜日。気心の知れたお客さんが集まってくる。昼過ぎから店はにぎわってきた。そんな中、こんどJazz喫茶をオープンさせるお客さんがやってきた。もうひとつの店の常連さんで、お会いするのは2度目。お客さんは言った。「スピーカーはAltec A7にしました。音源はアナログレコードで」。それを聞いたとたん、どこか遠くに行っていた元気が帰ってきた。Altec A7。いつかは手に入れたいと思っていた大好きなスピーカー。今でも時々、ネットで写真を見てはため息をついている。たぶん、自分の家に置くことはもうないだろう。でも、これからはちょくちょく会いに行くことができる。ああ、なんという幸せ。そのお客さんが、よかったらこれを、と、ワイルドターキーを下さった。ぼくはバーボンが大好きだ。どうしてわかったのだろう。今日はほかにも、大好きな手作りのカボチャプリンや手作りサーモンディップをいただいた。ぼくはすっかり元気になった