月夜

151025_01 月が明るかったので散歩に出かけた。公園を突き抜け、坂を下り、街灯のない道をとぼとぼ歩いた。月がなければ真っ暗な道。ふと、だれかが後ろにいるように感じて振り返るが、だれもいない。川に出た。川の流れる音を左手に聞きながら川を上っていく。月の光が真上から降り注いでいる。冷めた青い光。どこかで犬が吼えはじめた。この世のものとは思えぬ奇妙な声。宇宙語で話しているように聞こえる。しばらく歩くとまた川の音だけになった。ぼくは川を上っていく

江ノ島行き

151018_03 江ノ島まで1時間ちょっとのところに住んでいたことがあった。気分が滅入ったら江ノ島行きの電車に乗ればよかった。江ノ島にはなにもない。エスカレーターと灯台と植物園くらい

そこにはただ風が吹いているだけ

151018_02ビデオカメラで撮った古いテープをデジタル化する作業が半分ほど終わった。ビデオには若いときのぼくが時々顔を出す。幸せそうだ。少なくとも今のぼくよりは。でも、彼が信じている幸せが影にも劣ることを、幸せに見えない、今のぼくにはよく分かる

今はまだ人生を語らず

151014_01ビデオキャプチャカード内蔵のノートパソコンが壊れたので、DVDレコーダーのアナログ入力を使って古いビデオテープをデジタル化し始めた。DVDに焼いたビデオファイルをmpgファイルに変換しながらパソコンに取り込む。ヒマ人にしかできない時間のかかる作業だ。そうだ、ぼくの人生のほとんどは無駄な時間で占められている

センチメンタル

151012_01 仕事場から退き、アナログビデオのデジタル化専用機となっていたノートパソコンがついに動かなくなった。スイッチを入れるとランプは点灯するものの、ウンともスンともいわない。修理するかどうか迷ったが、10年以上働いてもらったし、もう休ませてあげることにした。中のハードディスクを取り出そうとネジを緩めていたら、なんだかセンチな気分になった。長いあいだ、ありがとう

アンテナ付きのアンプ

151004_01 お客さんが持って来られたデジタルアンプ。後ろの突起はブルートゥース用のアンテナ。iPhoneなどから電波で飛ばした音声を受け、接続したスピーカーを鳴らす。とても便利ですよ、とのことでした