リブート

ぼくはニンジンが嫌いだ。でも、年に数回、ニンジンが無性に食べたくなる。レバーもそうだ。特に好きでもないのに、あのガス臭い味が切に恋しくなることがある。映画や本にもそういう傾向がある。映画や本が好きなんですね、と、よく人に言われるのだけど、ぼくは映画はあまり見ないし、本もほとんど読まない。ただ、ニンジンと同じで、ある一定の期間が経ったころ、無性に本が読みたくなり、また映画が見たくなる。そしてその期間が過ぎると、本も映画も見ない。ぼくにとって映画や本は娯楽ではない。強いて近いイメージを挙げるなら、Windowsのシステムツール、デフラグ。データの断片化を解消し、データの読み取りを速くする。映画や本、つまり外部の物語は、ぼくの中で断片化されて見えにくくなったエピソードや言葉をうまくつなぎ合わせて、自分で読み取れる物語に再構築してくれる、あるいは、その手助けをしてくれる。これは以前このブログで取り上げたオープンダイアローグの手法とよく似ている。数日前、図書館から本を借りた。村上春樹の短編集を2冊とコロンビアの作家が書いた百年の孤独。村上春樹が外せないのは、彼の物語が、どういうわけか、断片化の解消と物語の再構築に卓効をあらわすから。例えば、今回借りた本の主人公がこんなことを言う。

「かたちのあるものと、かたちのないものと、どちらかを選ばなくちゃならないとしたら、かたちのないものを選べ。それが僕のルールです」
 村上春樹「東京奇譚集」偶然の旅人

十分にわかってはいても、行動につながる言葉になって出てこなかったぼくの考えが、また、そのせいで前に進まなくなっていたぼくの物語が、この代弁者の言葉によって再び動き始める

静かな朝が好きなのです

キツツキが毎朝やって来て、家の近くの木をつつくようになった。はじめのうちは珍しさもあって楽しんでいたのだが、だんだんうるさくなってきた。朝早くから、近くの木をマシンガンのように叩きまくる。人がまだ寝ていようが、おかまいなしだ

dance dance dance

珈琲豆を焼き終わって、ほっと一息。コーヒーを淹れ、BGMを先日ネットで買った古いアルバムに切り替える。20代前半、繰り返し聞いたビートの効いた音楽。リズムに反応して思わず体が動き出す。ディスコに通っていたあのころが懐かしい。サラリーマンだったころ、パートのオバさんやバアさんたちを引き連れてマハラジャに行ったことがあった。彼女らはグラスに注がれたピンクやブルーの甘い酒を好奇心の赴くまま手当たり次第試していたが、ぼくが目を離したすきにお立ち台によじ登り、それぞれ思い思いの振りでくねくね踊り始めた。本来そこはスラリとした鑑賞系の美女がスポットを浴びて踊るところ。スモークが焚かれ、ミラーボールは相変らず回っていたが、ぼくはすっかり酔いがさめてしまった。彼女らは大変喜んでいたが、店を出たころから次第に青ざめ、何人かは道路にしゃがんでゲーゲー吐き始めた。またとない忘れられない夜になった

地球の修理

160603_01磁気の具合が悪かったのか地球が落ちて割れたので修理することにした

160603_02知らない人はいないと思うが地球には磁石が2コ入っている。落ちたショックでとれたのでボンドで着けた

160603_03地球は大切にしよう

コゲラのドラミング

朝起きて屋上に上がり、ベンチに腰掛けてぼんやりしていると、家の前にある菜園の向こうから、聞きなれない、変な音が聞こえてきた。カエルの声のようにも、鳥の声のようにも聞こえる。ぼくは都会育ちなので、この怪しい声の主を特定することができなかった。ヨッパライ某に言うと、眉をひそめ、カエルじゃないの、という。わが家は川や池などない高台にあるが、アマガエルは棲息していて、雨が近くなると、あちこちでケロケロ鳴き始める。でも、今聞こえるこの声は、かなり太い。沼に棲息するウシガエル級の大物じゃないと、こんな声は出せない。とりあえずICレコーダーに録音し、店で調べることにした。今はyoutubeなどで簡単に調べることができる。で、調べた結果、キツツキが木をつつく音であることが判明。下の音声ファイルを聞いて、すぐにキツツキだとわかる人はあまりいないと思う

マジック

160530_10ベランダに放っておいたプランターに次々とバジルが生えはじめた。昨年の苗のこぼれ種が目覚めたのだった

160530_11次々と生えてくるので、それをプランターに移植。プランターと土が足りない

夜の鳥 その2

アオバズクが遊びに来なくなって半月くらい経った。深夜、部屋にこもって読み物などしていると、窓の外から虫の声、雨音、パトカーのサイレンなどが聞こえてくる。そこに、ひまな友達が遊びに来るように、夜の鳥がやってきて、しきりにぼくを誘う。一週間ほど前から、アオバズクに代わってホトトギスが遊びに来るようになった。一人きりの夜が、ちょっと楽しい。(さっき来たので録音してみました)

そろそろ雨の季節

160525_01今朝、車を出そうと駐車場へ行くと、奥でアジサイが咲いているのが見えた。カメラを取り出し、写真を撮っていると、どこかでパシャパシャ水の滴る音がする。あたりを見回すと、家の二階の軒から雨水があふれ出していた。排水パイプが詰まったらしい。やれやれ、また仕事が一つ増えた