風呂から上がり、屋上に出てイスに腰掛け、空を見上げると、星が10個くらい光っていた。薄雲が広がっているらしく、明るい星しか見えない。南東の空に木星がぼんやり光っている。空を飛べたら木星まで飛んでみたい、と思った。どれくらいかかるだろう。生きているうちにたどり着けるだろうか。気になってきて、部屋に戻り、本棚から図鑑を取り出した。小学校の時から使っている「宇宙のなぞ」という本。それによると、時速5,000キロのロケットで14年かかるという。もしぼくが空を飛べても、時速5,000キロなんて絶対無理。パーマンが時速91キロなのだから。計算してみたら、ぼくがパーマンみたいに飛べたとしても、769年かかる。やってられない
薪を割る男
ある本を読んでいたら、こんなことが書いてあった。
「男性の場合、失恋にもっとも効くのは、斧をもって、身体がくたくたになるまで薪を割ることだそうである」
なるほど、なんだか分かる気がする。ぜひ試してみたいものだ。でも、失恋しないことには試しようがない
あの日の君は
Magic
デジャビュ
昨夕、店じまいをしていると、この辺りでは見かけない、どこか未来風の服に身を包んだ若い女性が入ってきた。まだ大丈夫ですか? 推定身長172cmの彼女は言った。大丈夫ですよ。と、ぼくは応じた。彼女は深煎りの珈琲豆を二つ買い、勘定を済ますと、にっこり笑って、写真を撮ってもいいですか?と言った。かまわないですよ、というと、バッグから大きなレンズのついたキャノンを取り出し、軽いフットワークで店内を回り、シャッターを切った。ぼくはデジャビュを見てる気がした。ずいぶん前になるけど、これとそっくりなシーンがあった。ただ、それぞれの彼女が持つキャノンのシャッター音が違った。今のキャノンはとても静かだ
夜更けのミュウ その後
数日前の夜、屋上に上がり、星空を眺めようとイスに腰かけた。いつもと何かが違う。そう、ミュウの声がしない。ぼくはイスから立ち上がり、あたりを歩き回った。左のサンダルに重心をかけ、片足を上げてみた。何も聞こえない。左のサンダルの下で鳴いていたミュウはいなくなった。どこかに旅立ってしまった。ぼくはまた一人になった
在りし日のミュウの鳴き声↓
おやすみ
大人とは飽きた人のことだ。こうして文章を書いていると、そのことがよくわかる。つまり、白い画面に向かったはいいが、何も書く気にならない。すでに飽きてしまっているのだ。大人だからな。分かるかな。おやすみ








