朝、屋上に出て、ミルク色に煙った空を見上げると、小さな鳥の群れがあたりを縦横に旋回していた。よく見るとそれはツバメだった。いつ来たのだろう。昨日はいなかったのに
レビュー
今年は読書の年にしようと決めたんです。
お客さんはコーヒーを飲みながらそう言った。
今年最初に読んだのは遠藤周作の沈黙でした。
へー、そういう人だったんだ、とぼくは思った。
で、今から村上春樹のあの本を買いに行くところなんです。読み終わったらお貸ししましょうか?
彼女はにこにこしながら言った。
ぼくは気乗りがしなかったので、今はいいです、と言った。なぜかその時は読みたいと思わなかった。
さっき、ふと思い出して、アマゾンのレビューを眺めてみた。星一つのレビューがおもしろくて、ずいぶん楽しめた。それを読んでいたら、だんだん読みたくなってきた。今度彼女が来たら、貸してもらおう。
抜け殻
明るい部屋
数日前、部屋の照明をLEDに交換した。これがとても明るくて、気分も明るくなった、かというと、そうではなく、なんだかそわそわして落ち着かない。きっとぼくは暗いところが好きなんだ
雨の中を
アの季節
ある映画の話
冷たい雨が降っているせいか、外の景色が青白く見える。カウンターでコーヒーを飲んでいるバイク少年がつぶやくように言った。
アニメ映画なんだけどね、見た後で何度も思い出すんですよ。戦争映画だけど、戦うシーンはないんです
そんな季節
Wind, Sand and Stars
木星
風呂から上がり、屋上に出てイスに腰掛け、空を見上げると、星が10個くらい光っていた。薄雲が広がっているらしく、明るい星しか見えない。南東の空に木星がぼんやり光っている。空を飛べたら木星まで飛んでみたい、と思った。どれくらいかかるだろう。生きているうちにたどり着けるだろうか。気になってきて、部屋に戻り、本棚から図鑑を取り出した。小学校の時から使っている「宇宙のなぞ」という本。それによると、時速5,000キロのロケットで14年かかるという。もしぼくが空を飛べても、時速5,000キロなんて絶対無理。パーマンが時速91キロなのだから。計算してみたら、ぼくがパーマンみたいに飛べたとしても、769年かかる。やってられない