雲ひとつない空。車は峠を超え、山をくだり、広い真っすぐな交差点で止まった。時々、胸のどこかが痛くなるのはキンモクセイの匂いのせい。なぜだろう、いろんなものが距離を縮め、ぼくの体と同化しようとする。いつもなら、距離を保って自分の外に置いておけるのに。今日のぼくは、そういう力が弱っている。海岸線を走っていると、春じゃないのに、桜の花がたくさん咲いていた。でも、今日は、それが当たり前のように感じられる。ぼくの世界は反射し、リバースする。反射した光は何を失ったのだろう。
エンドルフィンの夏
今日は定休日。休日は早く目が覚める。低血圧なので、しばらくベッドに座ってぼんやりしていた。小さな電球が点るように、スイッチがひとつひとつONになっていく。数分後、ぼくは立ち上がり、カーテンを引いた。空いっぱい、ネズミ色の雲だった。水を500cc飲んだ後、ニンニクと唐辛子を炒め、ペペロンチーノを作って食べた。南の空が気になってしょうがなかった。ふと、遠くに青いものが見えた。それは青空だった。ぼくは急に冷たいアイスモナカが食べたくなった。アイスモナカは加世田の海浜公園で食べるとウマイ。かもしれない。透き通った青空と白い雲。ぼくは、いい気分で山道をとばした。海浜公園を奥に進むと砂浜に出る。草いきれの松林を抜けると美しい渚が広がった。ぼくはつくづく思う。鹿児島はほんとうにいいところだ。海浜公園を後にし、いつもの海辺のレストランに向かった。杜氏の里というだけあって、道に沿って奇妙な街灯が立っている。目的のレストランに着いた。でた。「準備中」。こういうこともタマにある。いや、よくある。ちなみに、定休日は木曜だったはず。仕方ないので、風車村に向かった。春に行ったとき、このアミューズメントパークの入り口には「当分の間休業します」との看板が立っていた。すばらしく立派なプールもあるし、このまま廃墟化するとは思えなかった。夏になれば、きっと復活しているに違いない、と、その時は思った。村の手前のカーブを曲がったあたりで、うまそうな匂いが車内に流れ込んできた。駐車場に車を止め、石段を駆け上がり、湯気の立ち昇る店の暖簾をくぐった。が、だれもいない。カウンターには珍しい食べ物が何種類も並べられ、いい匂いを放っている。
「金は後で払えばいいさ」
ぼくは大皿に盛られた食い物を片っ端から箸でつかみ取り、夢中になってほおばりはじめた。
海辺のレストラン
二日前のエントリーで、エンドルフィンのことを書いた。書いたあとで、また間違ったことを書いてるんじゃないか不安になり、ネットで調べた。いつも思うことだけど、書く前にちゃんと調べればいいのである。調べてみると、けっこうおもしろい。以前書いた「ひらめき脳」の茂木健一郎さんのwebマガジンもエンドルフィンでヒットした。うまいものを食うとエンドルフィンが出る、というわけで、うまいものを食べに南へ向かった。うまいものを食うだけなら、わざわざ遠くに出かけなくてもいい。しかし、ぼくのエンドルフィンはウマいだけでは出ない。空気が良く、価格が安くないとダメなのだ。12時過ぎ、いつもの笠沙の食堂に到着。日替わりは何?と聞くと、白身魚のフライとのこと。迷わずそれにした。ご飯のお代わり付きで630円。エンドルフィンが噴水のように出てる様子を想像しながら食べた。食後のコーヒーは、海辺にある、例の変なレストランにした。(なお、ぼくがよく使う「変な」は「ステキな」「おもしろい」あるいは「グレート!」と同義語です。念のため)
海に面したデッキでコーヒーを飲んでいると、マスターが気を利かせてBGMをカントリーからムード音楽に変えてくれた。「グレート!」ぼくは思わず叫びそうになった。カントリーのままでいいに決まってる。帰りにマスターと話していたら、「トンネルの先の海沿いにおもしろい店ができているから行ってごらん」とのことだった。若い姉妹がやっているそうだ。失念したが、ラフィーヌ?みたいな名前だった。今度行ってみる事にしよう。帰りに枕崎の某量販店で、マグロのカマ一個48円を5個と、トビウオ一匹30円を3匹を買って帰った。
なお、冒頭の写真は、20年近く前によく行った公園。帰りに寄ってみたら、遊具はほとんど撤去され、草ぼうぼうになっていた。
ベンチにて
一枚の写真が人を特別な場所にいざなうことは、よくあることだ。ちょっとまえ、多分、それは深夜だった。ぼくはBuraBuraで一枚の写真を見た。ベンチの写真だった。そのベンチは、休みの度に出かけるフラワーパークに置いてあるものだった。もちろん、ぼくはこのベンチに何度も腰掛け、何度もコーヒーを飲んでいる。でもそうじゃない。ぼくは彼のカメラに写った、あのベンチに腰掛けたいと思う。なのに、ぼくがそばに行くと、いつも決まってそっけない表情でぼくを迎える。
(BuraBuraマークの写真はBuraBuraのRogiさんのものです)
風車村
始まりがあれば終わりがある。きょうで5連休も終わり。某温泉のスタンプカードが満杯なのに、使用期限は5月いっぱい。コーヒーをポットに詰め、南に車を走らせた。
某温泉の待合所に腰掛けてると、小さな犬がヒョコヒョコやってきた。カワイイ顔をしてるけど、11才のおじいさん。DOG55と書いた服を着ている。ん?どこかで見たような。腹が減ったので、フラワーパークで昼食。たくさんのハルゼミが鳴いていた。池のスイレンがきれいだった。フラワーパークを後にし、近くの港に寄ってみた。途中、怪しいトンネルを発見。もしかすると、フラワーパークにタダで入れるのかもしれない。さっそく通り抜けてみたが、そこはフラワーパークの中ではなかった。港を出た車は西に向かった。今日は、通るたびにいつも気になっていた、坊津の風車村に行ってみた。20年以上前に行ったきりだ。ほとんどの施設が封鎖状態だった。景色はとてもいいし、駐車場も広い。悪くないと思った。トイレが使えないのが残念だけど。以前来たときは、小さな風車があちこちで勢いよく回っていたが、朽ち果てて面影もない。でも、いいところだ。次もまた来よう。ポットのコーヒーが切れたので、例の海辺のレストランに寄った。「準備中」だった。
Purple Rain
今日は定休日。昨日、今日と、晴天が続いている。ただ、黄砂のせいでカスミがかかっている。いつもは南の方に走るのだけど、今日は北に向かった。というのは、時々(勝手に)おじゃましている、あやさんのブログに、次のような文章を見つけたからなのだった。以下、牧園町和気公園「藤まつり」に行ってきたという記事から勝手に引用します。スミマセン。
— 牧園の清浄な空気の中に藤の香りが立ちこめ、何ともいえずいい感じであった。いい感じすぎて皆一様にテンションが上がっていたようであった —
ここ数日テンション下がりっぱなしのぼくの目に、この文章はヒジョーに魅力的に映った。高速道路を飛ばし、1時間弱で和気公園に着いた。おお、たしかに甘い匂いが漂っている。これは…そう、ファンタグレープの匂いだ。ファンタスティック!入場料300円を払って、満開の藤棚の下を歩いた。これだけたくさんの藤の花が咲いている下を歩くのは初めてだった。まるで紫の雨に降られているような幻想的な気分。(BGMはPrinceのPurple Rainでお願いします)
テンションがあがってきたところで、ぼくは高千穂峰の麓、御池に車を走らせた。いつものように、二人乗り手漕ぎボートでのタイムトライアル。昨年10月のトライアルでは、屈辱の13分40秒。前回の記録を55秒もオーバーし、ショックを受けたのだった。今回は大幅な記録更新を狙い、必死で漕いだ。その甲斐あって、12分14秒。前々回の記録をも31秒も短縮し、新記録を達成した。
霧島市立和気公園 藤まつりのホームページ
B.D
朝起きたときの気分は良くないことが多い。99.9%良くない。寝床で、やれやれ今日も仕事か、と思ったら、ほんとは朝から休みだった。ぼくは今日が月曜ということを忘れていたのだ。休みと気付いたとたん、元気になった。「最近ドライブに行ってないし、今日は朝からドライブに行こう」的気分になった。きのう福岡まで車を走らせたことも忘れていた。コーヒーをポットに詰め、南に向かって走り始めた。とりあえず「加世田の海浜公園でアイスモナカを食べる」という目的を設定した。ぼくの中で海浜公園はアイスモナカを食べる所になっている。モナカを食べ終えると亀ヶ丘という見晴らしのいいところに行った。風に吹かれながらボンタンアメを食べた。ちょうど昼になったので、笠沙の玉鱗という食堂で日替わり定食を食べた。今日はアジの唐揚げだった。とても美味しかったのでご飯をお代わりした。車は坊津の丸木浜に向かった。海辺のレストランを通り過ぎたとき、心がほんの少し痛んだ。だれもいない海。こわれたレコードのように繰り返す波の音。海を見ながらコーヒーを飲んだ。車はフラワーパークに向かった。ロビーはいつもよりお客さんが多かった。玄関で帽子を目深にかぶった若い女性とすれ違った。知っている人だと思って振り返ったけど思い出せなかった。
ペパーミントブルー
麓にあるいつもの温泉を後にしたのが11時40分。山を越えて池田湖に向かった。その道は池田湖を左手に見下ろしながら緩やかに下っている。道半ば、見晴らしの良い公園があるので、そこでコーヒーを飲むことにした。とても静かな公園だ。時折、静寂を破ってウグイスの甲高い声が響き渡る。桜の下のベンチに腰掛け、開聞岳と、その向こうに続く空を眺めながらコーヒーを飲んだ。今日はまったく晴れ渡っている。どこまでも走れる気分だ。車は坊津に向かって走り出した。
坊津のふところにある小さな砂浜、丸木浜はひっそりしていた。その奥にある岩場に行くと、潮溜まりでウミウシがひなたぼっこしていた。海に切り立った崖の地層がおもしろかったので、しばらく観察した。
車は左手に東シナ海を臨むリアス式海岸をくねくね走り続けた。今日の目的はやはりここだった。海に面したレストラン。そこにはオープンデッキがあり、海の音を聞きながらコーヒーが飲める。ここのマスターは器用なので何でも自分でやる。パンも自分で作っている。特に、ペンキ塗りは得意のようだ。例えば、プラスチック製の丸テーブルは青く塗ってある。わざとそうしたのか、かなり雑だ。ぼくは白のままでいいのにと思う。今日気づいた。いつのまにかウッドデッキもペパーミントブルーになっていた。
バベルの塔
今日は月曜日で休み。
朝から雨が降っている。休日が雨のときは、指宿の温泉に向かうことが多い。露天風呂で雨に打たれるのって、とても気持ちがいい。数日前、shinoさんたちは「和の湯」に入ったそうだ。ぼくは「山の湯」というのを選んでみた。湯船が凝灰岩らしき岩石の無垢でできている。ひなびた雰囲気がにじみ出てて、なかなか良かった。いつものように写真を載せたけど、以前、このブログに載せたぼくの足の写真を見て「きちゃね~」というクレームがあったので、今日は控えめに載せた。
温泉から山をひとつ越えると池田湖。その傍らにある町営そうめん流しで昼食にした。ここのそうめん流しは、左利きの人には不利に作ってあるので、ぼくは親しい人に左利きがいると、思わず誘いたくなる。
ところが、今日来てみてびっくり。いつの間にこんなものが…。それとも今まで気づかなかっただけだろうか。上と下で回転方向が違う。
一見、バベルの塔。場内を見渡したところ、一台しかないようだった。
3人のOLが台を囲んでいたので、お願いして写真を撮らせてもらった。ちなみに、彼女らはみんな右利きだった。
↓ ちなみに、ふつうのヤツ ↓
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